日本は国内外の反対の声を顧みず、頑なに福島核汚染水海洋放出を推進し、8月下旬に正式に実行に踏み切る見込みとなった。しかし日本が海洋放出の規模の大きさ、期間の長さ、影響の程度についての印象を意図的に薄れさせていることから、国際社会の注目は不十分だ。これは太平洋沿岸の諸国及び人民が何も知らぬ間に、百年にも及ぶ「汚染水海洋放出世紀」に連れ込まれる可能性を意味する。その利害について理解させるよう、我々は声を張り上げ主張しなければならない。
現在は福島の100万トン以上の核汚染水に主に注目が集まっている。福島原発事故により炉心溶融が発生したが、炉心の使用済み燃料の崩壊と発熱による原子炉の温度上昇を防ぐため、原子炉は絶えず冷却水によって冷却しなければならない。冷却水の一部は循環水で、もう一部は絶えず溢れ出す地下水だ。これは日本の東電が海洋放出しようとする130万トンの核汚染水の出処だ。
しかしこれらの放射性核汚染水は福島原発事故で生じたごく一部に過ぎず、現在の3基の原子炉の炉心及び炉内廃棄物の放射線量の1万分の1だ。将来的に福島原発の廃炉により、さらに多くの放射性廃棄物及び廃水が生じる。東電の水中ロボットが炉心を何度も懸命に調べた結果と、原子炉の炉心周辺に積んだ土嚢から高い放射線量が測定されたという報道は、いずれも炉心の放射線量が極めて高いことを示している。日本の原子力規制委員会は最近、原子炉の控え構造が突如崩落するリスクについて分析するよう東電に求めたが、これは炉心の放射線の危険性と複雑性を予期している。これらは炉心に堆積している使用済み燃料の処理や廃炉がより困難な問題であることを意味するが、それでも東電は最終的にこれらの問題を解消しなければならない。これらの放射性汚染水の除去方法について東電は説明していない。つまりそのごく一部の汚染水が海洋に放出された場合、その放射線量は現在を遥かに上回ることになる。現在の汚染水の放出に30年かかるが、未来の汚染水は百年かかっても放出できない。
核事故の処理は系統的な事業であり、通常は比較的整った計画があり、それから一歩ずつ着実に進められる。東電は現在「その場しのぎ」で、整った計画も設計もない。このような問題を処理する場合、国際原子力機関(IAEA)はまず放射性物質の総量の評価を支援し、かつ全体的な解決案を掲げるべきだ。ところがIAEAは今回、意図的にそれを回避し、発表した報告書では廃炉問題について考慮しないとはっきり称した。これは大きなリスクを残した。
(筆者・諸旭輝 中国軍備管理・軍縮協会高級顧問/郭暁兵 中国現代国際関係研究院軍備管理研究センター主任)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年8月21日