中国人が中秋節と国慶節を合わせた連休「スーパーGW」を楽しむ間、日本メディアもこの連休を利用し大いに論陣を張った。フジテレビや「毎日新聞」などの複数のメディアは中国のGW前からいわゆる「北京発東京行きの便が満席」「日本が中国人客の人気目的地に」などの情報を集中的に誇張し始め、かつ日本の核汚染水海洋放出に対する中国人の態度と無理やり結びつけ、中国人は「忘れっぽい」「日本の核汚染水海洋放出を気にしていない」といったミスリードの論調を意図的に作り上げた。
日本は核汚染水海洋放出以降、何度もさまざまな世論の手段を対外的かつ対内的に用い、お茶を濁し責任を逃れている。日本メディアは今回さらに中国のGWを利用した。事実によって日本メディアの世論戦さらにはフェイクニュースをさらに暴露し、日本メディアひいては政府の核汚染水海洋放出問題における無責任なやり方をさらにはっきり示す必要がある。
(一)意図的に概念を曖昧にし、耳目を混乱させる。一部の日本メディアはこのGWを利用し、中国の日本への団体旅行の解禁、中日間のビジネス往来及び親戚訪問などの需要の回復、訪日留学生の入学シーズンは10月といったさまざまな理由による訪日人数の増加を結びつけ、「訪日中国人=訪日中国人客」という大雑把な印象を作り、その中に多くのビジネス往来及び留学生が含まれることを、さらには日本メディアが観察した、いわゆる訪日航空便の「満席」には日本人も含まれるという事実を無視している。
(二)観光を利用しその場逃れをし、責任への認識を薄れさせる。多くの日本メディアはアクセル全開でこの「観光世論戦」を展開しているが、これには「心を攻むるを上となす」というセールスポイントがある。これはつまり、中国人の訪日と日本の核汚染水海洋放出問題を結びつけることだ。一部の日本メディアはさらに空港で「訪日中国人客」を取材し、取材対象の身元を不明にし現場の音声をカットするといった都合のいい編集により、「核汚染水海洋放出は訪日旅行に大きな影響を及ぼしていない」といった答えを一方的に導き出した。報道のさまざまな処理方法はいずれも、「中国人は自己矛盾している」という結論を意図的に強調した。つまり中国の一般人は口先ばかりであり、日本の核汚染水海洋放出はその訪日旅行に真の影響を及ぼしていないというわけだ。では、事実はどうか。日本が8月24日に核汚染水海洋放出を開始した後、中国を含む国際社会の反対と責任追及を引き起こしたことはさておくとして、GW開始前の一部の中国人の出境旅行統計データを見ると、今年のGW出境出境旅行市場は確かに活況を呈しているが、日本だけは日本メディアが宣伝しているほど「大歓迎」されていない。そのうち訪日団体旅行は参加者がほぼゼロだ。これは日本メディアが意図的に木を見て森を見ず、かつ中国人の「訪日旅行ブーム」をでっち上げることで日本の核汚染水海洋放出の責任への認識を薄れさせ、ごまかし、注意をそらそうとしているのではと疑わざるを得ない。
(三)差別化宣伝で、有利な世論環境を作ろうとしている。これらの日本メディアの中国人の訪日観光の「宣伝戦」を起こそうとする考えは、日本に有利ないわゆる「中国人は日本の放射能汚染水の海洋放出を気にしていない」「中国人は忘れやすい」などといった間違った情報を作り出すにほかならない。しかし、日本の世間に対するこのようなやり方は、「相手の力を利用して打つ」方向を間違って選ぶことになる。回復の兆しがあった中日間の観光、留学やビジネスなどの民間の往来を使い、自国の放射能汚染水の海洋放出を「正当化」するのは無理があり、危険もある。現在、中日間を行き来する航空便は週にわずか365本だが、コロナ前のピーク時の1000本以上と比べるとはるかに少ない。
さらに多くの日本メディアは最近、日本の科学技術政策担当大臣の高市早苗氏がこのほど、国際原子力機関(IAEA)の総会に出席したことを利用し、日本の核汚染水海洋放出の気運を高めた。日本のこのやり方は中国から反対されているだけで、国際社会から理解され、支持が広まっていると再び喧伝した。日本メディアのこの言い分はまさに見え見えの嘘だ。周知の通り、中国、韓国、東南アジア諸国などの多くの国の人々が猛反対しているだけでなく、太平洋諸国や一部の中南米諸国などの国際社会のその他の各国も常に懸念を抱いており、先ほどの国連総会の一般討論演説でも日本を直接批判した国がある。日本国内でも漁業団体を含む多くの人が、日本政府の核汚染水海洋放出の決定に反対し懸念を抱いている。
日本の一部のメディアは音頭を取り、さらには直接フェイクニュースを流布することが少なくなかった。しかし日本政府の核汚染水海洋放出の決定はすでに事実レベルの海洋核汚染と国際法レベルの「割れ窓効果」を引き起こしており、日本国民はこれが日本の国際的なイメージを著しく損ねると広く懸念している。この時期の日本メディアにとって賢明なやり方とは、政府とぐるになり悪事を働くのではなく、良識あるメディアとしての倫理上の責任を果たし、自身のこの問題におけるやり方を直視さらには訂正するよう政府に促すことだ。日本政府も1回目の海洋放出後に周辺諸国の懸念をしっかり考慮し、自身の責任を直視し、直ちに今後の海洋放出計画を停止し、すでに引き起こした結果の埋め合わせをするべきだ。
(筆者=笪志剛・黒竜江省社会科学院北東アジア研究所研究員、北東アジア戦略研究院首席専門家)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年10月7日