先進7カ国(G7)は29日、日本の大阪で貿易相会合を開き、声明を発表した。日本産水産物の輸入規制の「即時撤廃」を主張した。声明は名指しこそしなかったが、日本の水産物の輸入を規制している中国に矛先を向けていることは明らかだ。声明は貿易による経済的威圧を批判し、「経済的依存関係を武器化する行為に強く反対し、自由、公平で、互恵的な経済および貿易関係を構築するため取り組む」と称した。
中国駐日本大使館の報道官はこれに関する質問に対して、「日本政府は国際社会の深刻な懸念を顧みず、核汚染水海洋放出の開始を強行し、全社会に核汚染のリスクを公然と転化した。同時に経済的威圧はG7の特許だ」と回答した。
G7のこの声明の論拠が成り立つかについては、日本の核汚染水海洋放出が合理的か、海洋生態及び人類の健康に危害を及ぼすかが中心的な問題となってくる。
日本は「人類と環境にいかなる被害ももたらさない」ことを証明する確かな科学の証拠を示していない。ところが、一部の科学者が示した懸念と疑問は確かに存在する。
福島核汚染水海洋放出は人類史上初の大規模な核汚染水放出事件だ。その食品安全、海洋汚染、放射性物質の人類への健康面の影響などの問題には大きなリスクが存在する。特に核汚染水の放射性同位元素のトリチウムの存在は、世界の海洋生態及び人体の健康に大きな危害をもたらす可能性がある。環境保護団体のグリーンピースは、トリチウムは低エネルギーの放射性物質であるが、これはその影響が軽度であることを意味せず、植物・動物・人類に摂取されれば被害が生じる可能性があると強調した。
中国政府が日本の水産物の輸入を規制するのは、食品安全を考慮してのことだ。トリチウムの長期的な影響については現段階では明確な定説がない。国民の口に入る食品の安全に関するリスクを冒せようか。日本人もしくはそのいわゆる盟友たちが民衆の食品安全を犠牲にしても良いというならば、我々の知ったことではない。
しかしG7のこの声明は、中国を経済的威圧と逆ねじを食らわせ、荒唐無稽だ。中国駐日本大使館の報道官が述べたように、G7こそが経済的威圧の専門家だ。さらに馬鹿げたことに、現在の経済的威圧ではすでに彼らを満足させられなくなり、健康リスクを冒し核汚染されている水産物を食べるよう我々に脅迫しているかのようだ。
(筆者=鞏炯・対外経済貿易大学経済学科教授、博士指導教員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年10月31日