(一)量的緩和の終了は、日本経済が越えなければならないハードルだ。日本は現在、世界の主要エコノミーの中で唯一、異次元緩和を続けている国だ。
長期的な金融緩和により日銀のバランスシートが持続的に拡大している。現在は98年の10倍の約750兆円にのぼり、日本のGDPの約134%となっている。米連邦準備制度理事会(FRB)のこの数値は28%で、欧州中央銀行も50%未満。これは日本経済に多くの悪影響をもたらしている。
まずは市場の歪みだ。国債市場を例とすると、日銀が保有する国債の規模が約588兆円にのぼり過半数を占め、かつイールドカーブ・コントロール(YCC)により日本国債の流動性が大幅に低下し、金融の機能が失われている。
次に、財政規律が軽視され、政府の支出が持続的に膨らんでいる。日銀が大量に受け入れ、超低金利をコントロールしていることから、その国債発行コストがほぼゼロになっている。政府はこれにより財政的な依存を形成し、予算の支出が増え続けている。
それから、大量のゾンビ企業の形成により、市場競争の効率が低下し、資源の配置がミスマッチになっている。
さらに制度が硬直し、リスク対応の能力が低下している。FRBは2022年3月より11回の利上げを行っており、日本はジレンマに陥った。急激な円安と大幅な物価高により、日本政府は財政支援を行い、大量の資金を費やし為替レートに介入するしかなく、日米の金利差拡大の調整を行えていない。今や量的緩和の終了は、日銀の植田和男新総裁の活動計画に入っているが、タイミングの把握と市場とのコミュニケーションが難題となっている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年2月21日