(三)日本式の企業イノベーションには依然として経営者精神が欠けている。一橋大学の名誉教授である野中郁次郎氏は、日本企業は本質をとらえ最後までやり抜く「野性」を失ったと指摘した。これは日本から画期的な技術や、米国の「GAFA」(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)のような革新的な企業が誕生しない根本的な原因だ。日本は企業イノベーションの技術の基礎や資源がないわけではなく、これらを利用し画期的なイノベーションを行う経営者精神が欠けているのだ。
情報サービスを提供するクラリベイトが発表した「Top100 グローバル・イノベーター2023」に選出された日本企業は38社で、数で2位の米国の2倍となった。さらに電気自動車の特許を例とすると、その出願件数ではトヨタが断トツの首位で、しかも日本企業5社が世界トップ10に入っている。「全固体電池」の特許でもトヨタが件数で2位に3倍の差をつけトップ。ところが8位の米テスラはEV市場でリードし、その今年1月末現在の時価総額はトヨタの2.6倍だ。そのため経営者精神を呼び覚ますことが、日本企業が現在直面している重要な課題だ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年2月21日