宇宙の特殊な環境により、衛星の製造には過酷な環境に耐えられる高強度アルミ合金が選ばれることがほとんどだ。そのため、年内に世界初の木造人工衛星を打ち上げるという日本の発表は、各方から注目を浴びている。米サイト「Space News」は20日、この木造衛星は高い将来性を持つ可能性があるとした。
報道によると、日本の京都大学と住友林業は世界初の木造小型衛星を製造済みで、今夏の打ち上げを予定している。日本が木造を選んだのはまず、環境保護への配慮だ。日本の宇宙飛行士で京都大学の宇宙エンジニアである土井隆雄氏によると、アルミ合金材料を大量に採用していることから、大気圏再突入する衛星は微小の酸化アルミニウム粒子を燃焼し、排出する。これらの粒子は大気中を長年漂い、最終的に地球環境に影響を及ぼす。木造衛星は任務を完了し大気圏に再突入する際に、生物分解が可能な細かい灰しか出さない。ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの天体物理学者のジョナサン・マクドウェル氏は、5年もしくは10年後に2-10万基の衛星が軌道上を周回すると予想した。「我々の技術がより多くの衛星を必要とするにつれ、退役衛星の処理の問題が将来的に激化するばかりだ」
また木造衛星の外殻にはさらに多くのメリットがある。報道によると、宇宙に酸素がないため木造衛星が発火するリスクはゼロだ。宇宙環境は極度に乾燥し、ほぼ生命が存在しないことから、木材が微生物の繁殖により腐食する心配もない。さらに重要なことだが、木材は金属と異なり、電磁波を遮らないという大きな強みを持つ。これは衛星の外殻の内部に安全にアンテナを設置でき、外部にアンテナを設置する必要がなくなることを意味する。
京都大学の研究者は、金属の代わりに生分解性を持つ材料を使用すると提案した。彼らはプロジェクトで木材のタイプを評価し、サンプルが宇宙放射線や地球周回軌道での長時間の飛行という過酷な試練に耐えられるかを検証した。国際宇宙ステーションでの1年弱の曝露試験で、ホオノキが宇宙環境で安定し、割れにくいことが分かった。サンプルの質に測定可能な変化は生じず、分解や損壊の兆しもなかった。
報道によると、この木造衛星(コードネームは「LignoSat」)は安全審査の最終段階に入っており、今夏にも日本の宇宙航空研究開発機構とアメリカ航空宇宙局の共同ミッションで打ち上げられる見込みだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年2月22日