TSMC(台積電)の熊本工場が24日、稼働開始した。TSMCにとって初の日本工場で、2カ所目も年内に着工される見通しだ。日本政府はこの2工場に巨額の投資補助金を支給する。日本政府のこの措置は、半導体技術の強みを取り戻すための賭けであり、半導体強国への返り咲きを目指すものとされている。しかし第3者から見ると、日本のこの方針は実際に、次の2つの試練に直面することになる。
(一)政治化の考えは残るか。日本の経済産業省の当局者と関連企業は、熊本県とその他の地域での半導体業界の投資をめぐり、プロジェクト建設が地政学及び経済安全の要素と関わることを強調している。日本の「半導体強国に返り咲き」という考えには、中国と米国の駆け引きの激化への対応や、台湾からの高級半導体の供給ストップなどのリスクが含まれる。日本は自国の半導体産業の復興を急いでいるが、半導体関連のグローバル産業チェーン及びサプライチェーンにおいて有利な地位を新たに確立すると同時に、地政学や「経済安保」なども考慮している。米国が日韓への抱き込みを強化する中、米国の半導体関連の抑制力の強化に協力する計算さえ含まれるかもしれない。しかし日本の多くの理性的な関係者は、日本が中国と米国の駆け引きに関わるほど自国の経済に害をもたらすことを認識している。半導体もそうで、脱政治化こそが日本にとって、自国を守り強くする最良のプランだ。
(二)協力的な選択に配慮し、これを重視できるか。出発点をより高くし、自国の戦略的な優位性を構築しながら「ウィンウィン」に配慮することを立脚点とし、自国の半導体業界の発展の利益を地域内の二者・多者間科学技術産業協力にもたらし、さらには外向きに拡張し半導体をシンボルとするアジアの産業相互補完ネットワーク構造を形成することで、中日韓FTAの枠組み内の新たな経済協力を掘り下げ、アジアの地域一体化及びスマート化の発展を促す。日本はそのようにできれば、半導体産業の復興を実現するチャンスを手にし、アジアの新経済・新テクノロジーのより大きな発展をけん引することに期待できるだろう。(筆者=笪志剛・黒竜江省社会科学院北東アジア研究所研究員、北東アジア戦略研究院首席専門家)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年2月26日