2023年3月15日、習近平中共中央総書記（国家主席）は北京で中国共産党・世界政党上層部対話に出席し、「手を携えて現代化の道を共に歩む」と題する基調演説を行った。習総書記は「各国の前途・命運が緊密に結び付き合っている今日、異なる文明の包摂と共存、交流と相互参考は、人類社会の現代化のプロセスの推進、世界の文明の多様性の推進にとってかけがえのない役割を持つ」と指摘し、グローバル文明イニシアティブを打ち出した。

　グローバル文明イニシアティブの提唱から１年間、中国は国際社会と共に各国の人文交流、文化の融合、人民の繋がりの新しい局面を切り開き、人類文明の進歩への推進と世界共通の試練への対応に中国の知恵を貢献し、精神力をかき立てた。

　例えば、中国政府は大学間交流や遺産保護プロジェクトなど多様な人文交流を世界各国と推進し、各国の民衆と民衆の心をつなぐ努力を行っている。筆者は2008年から約１年半、北京の清華大学で中国語を学んだ際に、世界各国から来た青年達と机を並べ学生生活を共にしたことがある。アメリカ人、韓国人、ロシア人、ウクライナ人、フランス人、イスラエル人等々、みな仲の良い友達であった。それだけに現在の緊迫した国際情勢下、あの友は大丈夫だろうかと、まず友人の顔が浮かぶ。どこの国の人であれ、社会制度や文化が違っていても、実際に対話し交流する中で、互いに同じ人間だと感じ、共通の価値を分かち合うことができるものだ。

　平和と人文交流は深い次元で一体である。グローバル文明イニシアティブは、「戦争」や「テロ」によって人類が分断され行く中、中国政府は国境を越え、文明を越えて対話を通じた心と心を結ぶ文化交流を断じて進めていくという平和への決意表明といえる。その根底には地球温暖化や核戦争の危機等に直面し岐路に立たされた人類は一つしかない地球で運命を共にする共同体である以上、各国及び、その民衆は自国の利益のみを追求するのではなく他国にも関心を払い、共々に手を携えて地球的問題群の解決にあたり共同発展を目指さなければならないとの人類運命共同体理念がある。中国政府によるこのような人道分野における世界をリードする先駆的取り組みによって、人類の「人道的競争」の時代が開かれることを大いに期待したい。

（小林正弘　清華大学法学博士・Genuineways Law Firm パートナー）

　｢中国網日本語版(チャイナネット)｣2024年3月15日