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人工知能開発に対する中国の慧眼

中国網日本語版  |  2024-03-25

人工知能開発に対する中国の慧眼。

タグ:人工知能 AI 技術 関連法規 倫理

発信時間:2024-03-25 16:34:22 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 中国における人工知能技術の発展と実用化の試みには目覚ましいものがある。自動運転タクシーの試験的運用、オフィス街のお掃除ロボット、人工知能管理による大規模な野菜栽培や豚飼育など多分野において人工知能が実用化され、生産力や効率性の大幅な向上がもたらされている。中国政府が示した「新たな質の生産力」を強化する方針によって、今後、さらに広い分野で高水準の人工知能技術の活用が進むと共に、人工知能産業を支える人材市場も活発化し、今後の中国発展の大きな原動力となっていくことが見込まれる。

 他方で、人工知能の知的能力が人類の想定とコントロールを超えるのも時間の問題であり、人為を超えた核戦争の勃発など人工知能の軍事転用による深刻なリスクも数多くの専門家が指摘するところだ。科学技術の進歩と人類の倫理感の格差がかつてないほどに大きくなっている今日、無軌道な人工知能の開発が行われれば、その危険性は計り知れない。

 中国政府は人工知能が諸刃の剣であるとの深い認識に立ち、2022年4月21日、グローバル安全保障イニシアチブを打ち出し、2023年2月21日、中国外交部は「グローバル安全保障イニシアティブ・コンセプトペーパー」を発表し、「人工知能(AI)など新興科学技術分野の国際セキュリティ・ガバナンスを強化し、潜在的なセキュリティ・リスクを予防・管理・コントロールする」と提唱している。そして、2023年7月19日の人工知能に関する国連安全保障理事会ハイレベル会議では、「人間中心」および「平和利用」を柱とする人工知能倫理ガイドラインの確立と、それに基づく関連法制度の整備を先行させるよう呼びかけ、中国国内でも人工知能関連法規の起草作業が進むと同時に、深圳では全国に先駆け関連法規・政策が実施されている。

 人工知能は瞬時に大量の情報を計算的思考により合理的に整理し、あらゆる問題に解答を提示してくれる大変に便利な道具だ。しかし、その計算的思考には愛情や生命の尊厳性など数量化されない人類の精神的側面が軽視されるリスクが潜んでいる。人工知能へ過度に依存し、一見、合理的整理された情報に慣れることによって、本来は豊かであったはずの人間的な思考方法自体が単純化、単一化され、人類の人間観そのものが矮小化される弊害も懸念される。上述した中国政府の人工知能グローバル安全保障分野における提言は人類に対する重要な警鐘ともいえる。人工知能分野での先進的な取り組みで得られた知見と中国五千年の歴史の中で形成されてきた平和を尊ぶ哲学や知恵が世界レベルでの人工知能倫理規範の確立と関連法制度の構築に貴重な示唆を与えることを心から期待したい。

(小林正弘 清華大学法学博士・Genuineways Law Firm パートナー)

 「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年3月25日

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