日本の木原稔防衛大臣がハワイで米国、豪州、フィリピンの国防長官と一連の二国間・多国間会合を開いたことを最新の動向とする日本政府の最近の外交活動は、「軍事色」が濃厚になっている。さらに上川陽子外務大臣はスリランカを訪問した際にも海洋問題について言及することを忘れず、意味深長にスリランカの「海洋調査能力」の強化への支援を約束した。日本による軍事外交の強化の動きが見て取れる。
日本の軍事外交の強化は単なる思いつきではなく、内外の一連の計算がある。まず、戦後レジームの束縛から脱却したいという欲望が水面下から浮上している。次に、外部環境が日本政府によって「得難い契機」として喧伝・利用されている。それから、外交面で経済と軍事の「二輪駆動」を実現しようとする意図が顕著だ。
しかし日本が経済外交重視から経済・軍事外交の二輪駆動に転向し、そのために軍事外交の発展を妨げる「弱点」をあの手この手で補強しようとすることは、日本の平和発展の道をより不確実にし、北東アジアひいてはアジア太平洋全体の情勢により多くの危険をもたらす。
(一)日本の「平和国家」というイメージをさらに悪化させる。戦後日本が平和発展の道を歩んだことは一定の認識を得ているが、けん制を目的とする軍事計画を外交に混ぜることで、日本の近年損なわれていた国のイメージをさらにネガティブにする。戦後の「平和国家」というレッテルも風と共に去りぬだ。
(二)地域に軍備競争の触媒を撒く。日本の現在の軍事外交は、どちらか側の陣営につき、誰かに矛先を向け、けん制しようとする性質が強い。この外交の動きに合わせた軍備強化及び輸出も日増しに日常化している。ところがこれは日本の外交がかつて持っていた協調性と柔軟性を損ね、さらには地域内の複雑な地政学的情勢を激化させ、特に軍備競争の激化を招きやすい。
(筆者=笪志剛・黒竜江省社会科学院北東アジア研究所研究員、北東アジア戦略研究院首席専門家)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年5月8日