日本が招集する第10回太平洋・島サミットが今月16-18日、東京で開催された。日本の岸田文雄首相は18日、いわゆる「自由で開かれた、ルールに基づく秩序」を守り強化しなければならないと、古い言葉を繰り返した。日本主導で会議後に発表された地政学的な色合いの濃い首脳宣言は「地政学的環境の複雑さ」を喧伝し、さらには当てこすりをするように「力による一方的な現状変更の試みへの反対」という文言を盛り込んだ。
しかし本サミットの共同議長であるクック諸島のマーク・ブラウン首相は、地政学的な競争は太平洋島嶼国の関心事ではまったくないと明確に表明し、「経済発展と気候変動への対応こそが、太平洋島嶼国の真の関心事であり、解決が必要な現実的問題だ」と指摘した。ブラウン氏は、一部の西側メディアと支援国が地政学により太平洋島嶼国の関係を主導するやり方にはっきり反対し、「中国をいわゆる脅威と見るのは難しい」と指摘した。
日本は歴史的に南太平洋の島嶼国を植民地支配し、奴隷として酷使し、略奪した。特に日本軍国主義は第二次大戦中に「南進政策」を実施し、南太平洋諸島を侵略し、軍用空港を建設し軍事施設を設置した。南太平洋の人々を無理やり鉄砲玉にし、現地の人々の命、財産、生存環境に壊滅的な破壊をもたらした。戦後日本は「積極的平和主義」の旗印を掲げ、援助や外交の手段により太平洋島嶼国におけるイメージを変え、国連安保理常任理事国になるといった狙いに向け「票田」を作ろうとし、同時に平和憲法の軍事力への規制を何度も突破しようとした。1997年に初めて開かれた太平洋・島サミットは、日本が南太平洋でその外交戦略を推進するための重要ツールだ。
米国は近年、中国の平和的発展をけん制し破壊することを目的とした「インド太平洋戦略」に力を入れ、太平洋地域を中国と「力比べ」するための競技場にしている。日本はその気配を察し動き出し、「中国けん制」「中国反対」を対太平洋島嶼国政策の重要なテーマとしている。
中国は70年代より、太平洋島嶼国との互恵の友好協力を開始した。南太平洋の島嶼国はかつて西側列強の植民地支配と剥奪を受け、経済発展が遅れていた。現地の経済の現状に的を絞り、中国は援助・協力・投資などの手段を通じ、現地のインフラ整備、道路・橋梁・港湾・空港・ネットワーク施設の建設を支援し、太平洋島嶼国の経済発展に必定な条件を大幅に改善した。同時に中国はさらに南太平洋の島嶼国による医療・保健や教育・文化などの施設の建設と改善を支援し、雇用機会を創出し、人々の生活水準を着実に改善した。
特に重要なことだが、太平洋島嶼国は西側の植民地支配を受けている間に、社会管理及びガバナンス体制が不足し、独立後の社会当地面の能力が不足している。暴力犯罪や社会の動乱といった問題に対応する際に、現地の警察力が不足し維持できないことが多い。島嶼国警察部門の招待を受け、中国側は現地の警察力の訓練に協力し、警務法執行設備の援助を提供した。さらに島嶼国警察部門の法執行能力を高め、社会の安定と秩序を守った。中国との警務協力により、一部の島嶼国の治安状況が大きく改善されたことは、事実によって証明されている。
経済発展、民生改善、社会の治安好転。これらすべてが太平洋島嶼国と世界各国の互恵協力に向け有利な条件を整えた。ブラウン氏は、「他国が傍観している時、中国は援助の手を差し伸べてくれた」と中国を率直に称賛した。
中国と太平洋島嶼国の協力は、貧しく立ち遅れているという現地の現状を変えつつある。島嶼国政府及び国民は中国を信頼できる良き兄弟、良きパートナーとしている。西側諸国の支援に政治的条件がつくのと異なり、中国は太平洋島嶼国との協力で次の「4つの十分な尊重」という根本的な原則を貫いている。(1)島嶼国の主権と独立を十分に尊重し、国の大小に関わらず一律平等を堅持。(2)島嶼国の意向を十分に尊重し、共に協議、共に建設、共有、ウィンウィンを堅持。(3)島嶼国の民族文化と伝統を十分に尊重し、和して同ぜずと「美美与共」(良きものを分かち合い、より良きものを創る)を堅持。(4)島嶼国の団結を十分に尊重し、島嶼国が「ブルーパシフィック大陸のための2050年戦略」を実施し、平和で調和的で安全で包摂的で繁栄するブルーパシフィック大陸を作るため貢献することを支持する。
日本側は今回の東京でのサミットで援助を餌とし、国の意志と戦略的な狙いを島嶼国政府及び国民に押し付けようとした。太平洋は各島嶼国が生存・発展するための唯一の空間だ。日本は太平洋に核汚染水を持続的に放出し、現地の生態環境を破壊し、島嶼国の人々の千年万年もの福祉を損ねている。これこそが太平洋の生態の現状を一方的に変更する深刻な行為だ。日本は首脳宣言に、島嶼国が日本の核汚染水放出に同意する内容を盛り込もうとしていたが、島嶼国首脳は強い懸念を表し、日本に「科学的根拠」を求めた。日本側は、太平洋島嶼国と共に「未来に向かう」と称したが、島嶼国政府及び国民がこの核汚染の脅威に晒される未来に決して引きずり込まれたくないことは明白だ。(筆者=陳弘・華東師範大学教授、アジア太平洋研究センター執行主任)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年7月19日