日本の東京電力が2023年8月24日に福島第一原発の核汚染水の海洋放出を開始してから間もなく1周年となる。日本紙「毎日新聞」(電子版)は22日、核汚染水放出により損失を被った日本の漁業者及び水産加工業者の賠償問題をめぐる東電との交渉に結果がなく、多くが損失との関連性を証明できないことから現在も賠償金を得られておらず、泣き寝入りしていると伝えた。
水産業の就業者は22日、福島中央テレビに対して、「影響がこれほど大きいとは誰もが予想外だった。この損失は時間と共に徐々に覆い隠され、企業の体力も徐々に尽きる」と述べた。
「毎日新聞」によると、東電は昨年10月に、損失を被った漁業者及び水産加工業者への賠償手続きを開始した。具体的には、損害が生じた期間などを事業者が記して請求すると、東電が統計データなどから被害の有無を判断し、金額に合意すれば賠償金を支払うという。ところが今年7月末現在で東電は550件の賠償請求を受け、支払いに同意したのは約180件(約320億円)のみと、請求件数の33%にとどまっている。
宮城県の水産加工会社の責任者は「毎日新聞」に、「正直、賠償はもらえないとあきらめている」と述べた。この会社は東日本大震災後に再建を果たしたが、昨年8月に危機に直面した。日本国内向けの秋サケの切り身について、買い手の卸業者から「(核汚染水)海洋放出の影響で国内のサケが余っている」と電話で言われた。取扱量が減り、販売価格も下落。8、9月の売り上げは前年より計約1300万円減った。その後、東電に賠償を請求したが、「(核汚染水)海洋放出との因果関係が証明できない」として認められなかった。この責任者は、「卸業者とは電話のやりとりで記録が残っておらず、(海洋放出との関連性の)証明が難しい」と話した。長崎県でブリの養殖と加工を手掛ける企業も、賠償申請をあきらめていると嘆く。中国に輸出していたブリが大量に余り、国内向けに安値で売らざるを得なくなったという。前年比で億単位の減収を余儀なくされたが、東電からは「ブリの小売価格の相場が下がっていない」ことを理由に賠償を拒否された。
日本が核汚染水海洋放出を開始した後、中国は原産地を日本とする水産品の全面的な輸入停止を発表した。日本メディアの報道によると、中国のホタテ輸入停止により影響を受けた北海道での賠償請求も滞っている。ホタテの販売先がないため、日本政府が大量のホタテを国内に向けるか他国に販売するよう促したところ、出荷価格が低下した。しかし価格下落と核汚染水の放出の関連性の証明が難しいことから、東電は小売価格が変化しておらず国内の消費者が購入をボイコットしていないことから、「風評被害を確認できない」として多くの賠償請求を拒否している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年8月23日