米ホワイトハウスはこのほど、バイデン米大統領が日本製鉄によるUSスチール買収を正式に阻止したとの声明を出した。インフィニティ合同会社の田代秀敏チーフエコノミストは、今回の買収計画は本質的に日本製鉄の利益最大化に基づく「経済行為」だが、米国側の阻止は完全に「政治的考慮」によるものだと述べた。「歴史的に見ると、米国は再び保護貿易措置により日本に圧力をかけた」
米国の覇権的地位を脅かすすべての企業と国は、米国の巻狩りの対象になり得る。同盟国であってもそれは避けられない。脅迫的な手段により日本に「プラザ合意」を迫り、日本経済に致命傷を与え、「失われた30年」をもたらした。「ロングアーム管轄権」などの手段により仏製造業を代表するアルストムを「分割」させ、その主力とする電力事業を競合他社のゼネラル・エレクトリックに買収させた。EUなどの多くの国及び地域の鉄鋼及びアルミ製品に追加関税を導入した。オランダ光学リソグラフィ機器大手ASMLの自由貿易を規制し、多くの外国企業を輸出規制の「エンティティリスト」に入れた。このような一国主義及び保護主義の措置は世界の産業チェーン及びサプライチェーンの正常な運転をかき乱し、企業の合法的な権益を強く侵害し、国際経済・貿易協力の公平と安定を破壊する。そこには米国が多国に吹聴する、開放・包摂・協力の自由市場の精神の欠片もない。
米国の保護主義的措置は逆効果になるだけだ。米鉄鋼業界の盛衰と米国経済の「実から虚へ」の歩みの間には深いつながりがある。海外の競争に対応するための長期的な保護貿易政策により、米国内の鋼材価格が高止まりし、製鉄所の収益に改善が見られず、自動車や建築などの川下業界が国際競争で大きな犠牲を強いられる。米ブルームバーグは昨年の記事で、過去10年に渡る米国の鉄鋼に対する保護主義的措置は米金属製造業の雇用の流出を阻止できず、さらに米国経済のその他の分野のコストを膨らませ、業界の競争力を落としたと指摘した。
米国の貿易及び投資分野における「国家安全」の濫用は萎縮効果をもたらす。グローバル企業は対米投資を懸念し、敬遠する。日本製鉄とUSスチールは共同声明の中で、米政府の買収阻止は「本社を米国の同盟国に置き、米国での重大投資を検討中のすべての企業に身の毛がよだつ情報を発信した」と表明した。米紙「ニューヨーク・タイムズ」は、米政府の阻止の決定は米国の開放的な投資文化に背き、米国経済に広い影響を及ぼす可能性があると指摘した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2025年1月6日