米国の重要同盟国であり主要貿易相手国でもある日本は、従来の対米外交では柔軟な姿勢を維持してきた。しかし今回の関税問題では強硬姿勢を鮮明にしており、その背景には以下の三つの中心的な要因が存在する。
第一に、国内の政治的プレッシャーが直接的要因となっている。7月20日に迫った参院選は自民党が政権基盤を固める絶好の機会だが、石破茂首相率いる連立与党の支持率は低迷している。農業保護は自民党の重要支持基盤である農家に対する重要政策だ。さらに日本政府は6月中旬のカナダ・G7サミットでの日米首脳会談実現を模索したが、交渉進展がない中で頓挫した。これは石破氏にとって選挙前の重要な実績アピールの機会損失をもたらし、こうした政治的挫折感が選挙情勢の挽回を狙う強硬姿勢を促している。
第二に、自動車産業保護が日本経済の長期的発展に直結している。自動車産業は日本経済で決定的比重を占め、政府が死守すべき国益だ。石破氏は「英国とのような自動車輸出上限付き合意や10%の『基準関税』を拒否し、追加関税の全面撤廃を要求する」と繰り返し表明しており、自動車産業保護の決意を示している。
第三に、戦略的思惑が深層に存在する。日米貿易交渉の膠着状態は表向きは経済的利益の対立であるが、本質は両国の戦略的利益の駆け引きだ。日本は近年「戦略的自律性」を求める傾向を顕にしている。国際経済秩序が劇的に変化する中で、日本は自らの地域的・国際的ポジションの見直しを迫られている。
今後の日米貿易交渉の行方は不透明であるが、交渉結果如何にかかわらず両国の亀裂は深まり続けるだろう。
(顔沢洋・中国現代国際関係研究院北東アジア研究所)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2025年7月11日
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