独ハイデルベルクのトーマス・ラーベ氏の自宅庭園に入ると、花々に囲まれた胸像がまず目に飛び込んでくる。祖父のヨハン・ラーベだ。書斎にはヨハン・ラーベに関する資料や書籍が整然と収められ、居間の中央には家族の古い写真が大切に飾られている。「祖父が中国の民間人を守った行動は、私たち家族の誇りであり続ける」とトーマス氏は静かに語る。
1937年、中国侵略日本軍が南京大虐殺を起こした際、ドイツ人実業家ヨハン・ラーベは南京安全区国際委員会を設立し議長に選ばれた。長年中国で生活し多くの中国の友人を得ていた彼は、戦火が迫る中での単身撤退を拒否し、「自らの命をかけても共に働く人々を見捨てない」と決意。安全区では20万人以上の中国人が保護された。その記録「ラーベの日記」は今も南京大虐殺の重要な史料の一つとなっている。
トーマス氏は祖父の記録を通じ、中国人民の抗日戦争の歴史に深く触れて育った。「中国は世界反ファシズム戦争において極めて重要な役割を担った」と述べる彼は、第二次世界大戦中に中国が最も早くファシズム侵略への抵抗を開始し、連合国勝利に大きく貢献した点を強調している。
トーマス氏は、祖父をより良く記念するため、ヨハン・ラーベが遺した歴史的文書資料の保護と整理に積極的に取り組み、その精神と事跡の普及活動に尽力している。これにより、トーマス氏は2015年に「中国人民抗日戦争勝利70周年記念章」を、2018年に「中国政府友誼賞」を受賞し、2025年には第2回蘭花賞「友好使者賞」に輝いている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2025年8月27日
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