日本人ドキュメンタリー監督・竹内亮の新作「名無しの子」は、人々の目を再び残留孤児という特殊な集団に向けさせた。日本による中国侵略戦争中、日本軍国主義者は「満州農業移民百万戸移住計画」を制定し、「開拓団」を組織して中国に経済侵略を加えた。敗戦後の1945年、日本は「開拓団」のメンバーを放置。数千人の日本人の子供が中国に置き去りにされた。善良な中国の人々は国家間の恨みを超えて彼らを養育した。

宇都宮孝良さん（83）は「環球時報」の取材で、「民族の憎しみが最高潮だった時代、残留孤児の養育には常人を超える勇気と慈悲が必要だった」と語った。1945年、宇都宮さんは収容所で中国の農民の夫婦に養子として引き取られた。「養父母は教育を受けていなかったが、心がとても優しかった」という。

家計が苦しかったものの、養父母は宇都宮さんの就学を全力で支援した。「学校に行った時、私が残留孤児ということは秘密にされ、学校に知らされなかった」宇都宮さんは比較的静かな環境で育つことができた。この血縁を超えた大いなる愛により、数千人の日本人の子供が中国の大地で第二の命を得た。

池田澄江（中国名・徐明）さんの物語はさらに波乱万丈だ。池田さんは1944年に中国・牡丹江で生まれ、生後間もなく実の両親と離れ離れになり、家庭の記憶は中国の養母の懐から始まった。池田さんは、「養母の教えは私の人生に大きな影響を与えた」と述べた。

実の両親探しは難航を極めたが、1994年12月に東京・代々木の喫茶店で偶然隣の席にいた女性と会話した際に、その女性の出身地（牡丹江）が池田さんと一致し、養父母の住所も同じだったことを知った。その後のDNA鑑定の結果、99.999％の一致率で彼女たちは生き別れになり60年の姉妹であることが判明した。再会した女性は池田さんの姉で、実の両親から与えられた名前が「池田澄江」であることも姉から知った。

池田さんは2008年に「中国帰国者・日中友好の会」を設立し、他の戦争孤児に援助の手を差し伸べた。彼女はしばしば「養母は私の人生で最も貴重な宝物だ。彼女がいなければ今日の私はいない」と語り、「与人為善（善意をもって人助けをする）」を人生の信条としている。これは中国の養母から教わったことだ。

日本に帰国後、池田さんと宇都宮さんは中国の養父母の話を語り続けている。池田さんは「環球時報」に、「私たちは加害者と被害者の二面性を持つ集団だ」と語った。彼女らは「開拓団」の子孫で、父の世代は中国の資源略奪に加担した。その一方で、戦争の孤児として軍国主義の直接の被害者となった。この二面性により彼らは歴史をより深く理解している。

宇都宮さんは、「日本軍国主義者は中国人民に苦しみを与えた。日本が中国を侵略しなかったら、親子の生き別れがなく、我々のような残留孤児もいない」と指摘し、「私は日本の軍国主義と戦争を恨み、嫌っている」と率直に語った。池田さんも、「日本軍国主義者が侵略戦争を起こさなかったら、私の家庭は壊されなかった。私たちのような敵国の子供を育ててくれたのは善良な中国人民だ」と語った。宇都宮さんと池田さんは取材中、共に「日本は歴史を直視し、真摯に謝罪し、平和的発展の道を堅持するべきだ」と述べた。

「中国網日本語版（チャイナネット）」2025年12月18日