日本では2月8日の解散総選挙の投開票日を前に、高市首相が掲げている「責任ある積極財政」に対する懸念の声が高まっています。
日本経済新聞の大林尚客員編集委員は1月26日付朝刊に寄せた、「忍び寄る財政破綻の足音 高市早苗首相、異論を封じるな」と題された論説で、自民党の経済財政政策を「責任ある積極財政に名を借りた大盤振る舞いここに極まれり」と評し、消費者物価は3%程度の上昇基調にあり、首相は政府の消費税収が増える中で、「税率を上げずとも税収が自然増に向かう強い経済」の実現を繰り返して主張しているが、「その実はインフレ税である」「多くの納税者の懐に財務省が手を突っ込み、気づかれぬよう現金を奪っているのが現実だ」と批判しました。大林委員はさらに、国債発行残高が2026年度末に1145兆円に膨らむと指摘し、「長期金利の上昇が政府の利払い費をかさませる。為替・国債相場のダブル安は高市財政の帰結である」と問題視しました。
また、エコノミストで、プロジェクト・マネジメント会社のテラ・ネクサス(Terra Nexus)」の田代秀敏CEOは2月6日、中国中央広播電視総台(チャイナ・メディア・グループ/CMG)日本語部の取材に対し、高市首相が「責任ある」と唱えながら財政規律を緩ませていると懸念を示しました。田代CEOは、高市内閣は2026年度予算案において、「一般会計から支出すべき措置を特別会計に付け替える手法で、一般会計の歳入全体に占める国債の割合を示す公債依存度を前年度より引き下げた」ことに着目して、「粉飾決算まがいの手法で公債依存度を見かけだけ引き下げても財政事情は改善せず、財政への信認を落としただけだ」と厳しく批判しました。さらに、インフレと人手不足の状況下での積極財政は、物価を更に押し上げ、インフレーションを加速すると指摘し、高市首相が円安を容認するどころか歓迎までしていると受け取られると、「日本から海外への資金逃避が生じて円安は更に加速し、インフレーションを更に加速する」と同政策が日本経済に及ぼすネガティブな影響を憂慮しています。
高市首相が公約に掲げる「責任ある積極財政」には、中国の日本ウオッチャーの間でも同じく懸念の声が上がっています。ジャーナリストでもある日本企業(中国)研究院の陳言院長は6日にCMG日本語部の取材に対して、以下の3点からこの政策が内包するリスクを指摘しました。
第1点は、この政策は実質的にアベノミクスの延長線上にあることです。
陳院長は、アベノミクスは金融政策と財政政策の力に過度に依存しており、製造業や実体経済への投資を軽視した結果、日本経済が長期にわたって停滞を続けていると述べ、アベノミクスの踏襲は、日本経済を「失われた40年」へと導こうとしていることに他ならないと、厳しい見解を示しました。
第2点は、高市首相の財政政策が明らかになった直後に、円相場が大きく動揺したことです。
陳院長は、高市首相が選挙期間になってから、円安によって多くの企業が「ほくほく」していると発言したことを取り上げ、「高市氏は円安が自動車メーカーなど輸出大手や海外投資を行う大企業が円安で得をしていることばかり強調し、輸入コストの上昇や物価高による家計への打撃については一切触れようとしない。これは、一国の首相としてあまりにも偏った視点と言わざるを得ない」と批判しました。
第3点は、日本経済を取り巻く環境の変化を無視したことです。
陳院長は、「第二次安倍内閣が発足した2012年当時、円相場は1ドル=79円台だった。あの時点におけるある程度の円安には、まだ一定の合理性があったかもしれない。だが今や、円は1ドルに対して155円から160円台にまで下落している。これ以上の円安はもはや『政策効果』ではなく、『経済の一層の失敗』そのものであり、『失われた時代』の延長が現実化しつつある証拠だ」と批判し、高市首相が日本経済の構造的問題に対策を打たずに、このまま政策を進めれば、多大なリスクを抱えることになると指摘しました。(取材・記事:王小燕、校正:鈴木)
「中国国際放送局 日本語版」2026年2月7日
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