高市内閣は先ごろ、総額370兆円にも上る、15年間にわたる巨額の投資計画を発表した。ところが、この計画が発表されるやいなや、市場は「不支持」の票を投じた。円相場は即座に下落し、一時は1ドル=162.80円台を割り込み約40年ぶりの安値となり、「世界最弱の通貨」と化した。メディアの論評では、このような急進的な財政拡張政策は税源の裏付けを欠き、国民生活や経済の現実的な課題を顧みないものであり、日本経済の発展に極めて大きな不確実性をもたらすとされている。
日本のマクロ経済が直面している顕著な矛盾の一つは、金融政策と財政政策のミスマッチだ。一方では、続く円安と輸入型インフレを抑え込むために、日本の金融当局はやむなく「ブレーキ」を踏み、4月末以降、11兆7千億円にも上る資金を投じて為替介入を実施し、日銀は政策金利を1%まで引き上げた。その一方で、高市内閣は財政の「アクセル」を急激に踏み込み、大規模な国債発行と財政拡張を強行している。このような「金融引き締め」と「財政緩和」の拮抗は、日銀の引き締め政策の効果を直接削ぐだけでなく、市場に危険なシグナルを発している。すなわち、政府債務の対GDP比が既に230%に達している状況下で、無謀な財政拡張が国の信用を著しく損ねているということだ。利上げが円相場を下支えする効果はすでに、財政側の悪影響によって相殺されている。現在の円安は、もはや日米金利差の変動の範囲を超えており、日本経済の構造的不均衡と財政システムの極度の脆弱性が顕在化したものにほかならない。
一部の分析では、この現象を2022年の英国の「トラス・ショック」になぞらえている。当時のトラス英首相は、中央銀行が利上げでインフレに対応する中で、財源の裏付けを欠く「ミニ・バジェット」減税計画を強行。最終的に金融市場の激しい混乱を引き起こした。日本政府は現在、「純資産負債比率」などの新しい指標を用いて、高債務・高赤字・硬直的な支出膨張という三重の苦境をごまかそうとしており、さらには「2040年までに名目GDPを1100兆円に」という壮大な目標を掲げている。しかし現実を見れば、過去15年間の日本の実質GDP年平均成長率は約0.7%にすぎず、名目GDPは2024年にようやく600兆円を超えたばかりだ。いかにデータや概念をすり替えても、短期的・功利的な財政運営という本質は隠しきれない。
結局のところ、この巨額投資計画の背後には政治のさまざまな思惑がある。対内的には、日本政府は「経済安全保障」を名目に、納税者の資金を半導体や軍需産業への巨額の補助金に充て、さらには食品減税などの短期的な国民向け支援策を打ち出しているが、これは実質的には財政を犠牲にして票を得ようとするものにすぎない。対外的には、日本政府は意図的に対中国強硬姿勢を取り、日本企業の対中投資が年間15%以上の安定した収益率を長年維持しているという事実を完全に無視し、両国間の正常な経済協力を強く妨害している。
注目すべきは、このような日本の急進的な財政政策が、グローバル金融市場にリスク要因を埋め込むことになる点だ。2025年度末時点で、日本政府の債務残高は既に1343兆円に達し、対GDP比は他の先進国をはるかに上回っている。著しい財政逼迫下での「大規模投資」は、悪化に拍車をかけることに等しい。もし世界的な「日本資産売り」が誘発されれば、日本の機関投資家も巨額の米国債を売却して資金を回収せざるを得なくなり、それが米国債市場の動揺を引き起こす可能性がある。また、日本国債の利回りが急上昇すれば、国内金融機関の帳簿上に巨額の含み損が発生し、信用収縮を招いて企業の資金調達が著しく困難になる。内外の圧力が重なることで、日本の実体経済は深刻な収縮の圧力に直面することになる。(筆者・張玉来 南開大学日本研究院副院長)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2026年7月10日
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