摩天楼の建設ラッシュについて、業界内でも様々な見解がある。中国不動産及び住宅研究会の顧雲昌副会長は、都市部の空間の狭さが、地価の高騰を招き、開発業者も容積率を増やせる高層ビルを選択するようになり、地方政府も政績を表す一つの手段として「ランドマーク」の建設を奨励していることが要因だと指摘する。
摩天楼バブル
ランドマークを建設すれば、人々の注目を集められるというだけではなく、GDPの成長ももたらすというのも一つの狙いだ。その都市にランドマークがあるかどうかが、その地域の政績評価のバロメーターになっていると顧副会長は話す。ランドマークは“名刺”であり、外来投資を促す。実力のある企業が進駐することになり、地域経済が活性化される。ビルの高さを常に塗り替えようとするのは、地方政府がその地域の知名度を上げることが目的だという。
「2012年摩天都市報告」は、摩天楼と第三産業は切っても切れない関係にあると指摘する。米国と比較してみると、米国は1棟の摩天楼に対する第三産業の生産額は平均で1431億元、中国は436億元と少ない。生産率は米国の30.5%に止まる。
専門家は盲目的な摩天楼建設は都市経済全体を大きく衰退させると警鐘を鳴らしている。2010年、広西省防城港市は95億元を投じ、高さ528メートル、109階建てのアジア国際金融センターを建て、完成すれば南西地域一高いビルとなるとして一時話題を呼んだ。しかし、人口たった86万人の防城港市にこれだけの規模のビルを建設するには、一人当たり平均11000元の投資が必要になり、負担が大きすぎるとして後に計画は中止した。