カジノ建設は石原氏の重要な目的であった。そのため石原氏は2006年に2016年のオリンピックを誘致し、カジノ計画をその中に盛り込み、息子が選挙に出馬した際に東京オリンピック誘致のため努力するというスローガンを叫び、有権者の支持を集めた。
友人はそのために石原氏のオリンピック誘致に興味を持っていなかったのだろう。彼にとっての石原氏は、定見のない政治家にすぎない。石原氏と比べ、友人は安倍首相こそラッキーな人物だと考えている。アベノミクスが推進されぬまま株価が上昇し、円相場が下り、日本企業を喜ばせた。オリンピック誘致のために何も努力しなかったにも関わらず、会場で会心の笑みを浮かべていたのは安倍首相だった。東京オリンピック誘致に初めに取り組んだのが石原氏だったとするならば、今やそこからは彼の姿は完全に失われている。
友人は、「安倍政権の時にオリンピック誘致に成功すれば、成果を手にするのは安倍首相であり、アベノミクスを推進する可能性が生まれる。50年前の東京オリンピック精神を再現し、日本に前向きなムードをもたらすことができる。この20年間に渡り毎日切り詰めた生活を送り、毎年メディアが低迷について報じるのを聞いた日本人は、とっくにこのような状態に嫌気が差している」と語った。