デフレ脱却が頓挫する可能性
原発事故の収拾はつかず
飲み屋のテレビはオリンピックの話題を休まず続けていた。それによると、オリンピック誘致成功は次の二つの問題を解決できるらしい。まずは日本の10数年間のデフレ、それから福島原発事故の早期解決だ。
日本の物価は近年下がり続けており、円高が続いていた。その結果、投資をしようとする人がいなくなり、市民は消費を控えるようになった。どのみち明日のモノは今日より安くなるのだから、焦る必要はないというわけだ。2%の物価目標は安倍首相が提案したもので、CPI上昇率をマイナスから+2%にしようとしている。中国のCPI上昇率は現在2.8%以上となっており、人々は住宅や衣料品の購入を急ぐ必要がある。今買わなければ、将来的に現在よりも3%以上高くなるという、最も分かりやすい道理がある。買うのが早いほど得をするのだ。
日本は今、この道理を理解した。物価上昇には、国家的な大プロジェクトが必要だ。東京はオリンピック誘致成功の経済効果が3兆円に達すると予想した。民間機関、例えば大和証券シニアストラテジストの木野内栄治氏は大胆にも、オリンピックが7年間に渡り日本経済にもたらす経済効果は150兆円に達すると予想した。