統計によると、日本人の8割が避妊用具にコンドームを選んでいる。米国ではわずか3割で、多くの人が避妊薬を使用している。相模ゴムとオカモトの担当者は、「五輪には世界から多くの人が集まり、宣伝効果を通して、もっと多くの外国人にコンドームを使ってもらいたい」と話す。
この期待は株式市場の動きによるものでもある。東京五輪招致成功の後、東証2部に上場する相模ゴムの株価は292円から一時364円に上昇。東証1部に上場するオカモトも308円から一時328円まで上昇した。
一方、コンドームメーカーの担当者は不安も抱えている。「選ぶ基準が不透明」であり、7年後に提供業者に選ばれるかわからない。コンドームの無償提供は1988年の韓国のソウル五輪から開始した。2012年のロンドン五輪では、参加選手は約1万5000人、提供されたコンドームは過去最多の1万5000個だった。しかし、わずか5日でなくなるという需要の大きさで、当時話題にもなった。
日本国内にコンドームを生産するメーカーは数社しかない。コンドーム提供に関して、国際オリンピック委員会(IOC)は一般的に主催国のメーカーから選ぶが、明確な基準はない。例を挙げると、長野五輪で、IOCは相模ゴムに米国での製品販売審査に合格したことを示す書類を提出するよう求めたが、詳しい選出基準は明確にしなかった。長野五輪で数万個のコンドームを提供したオカモトの担当者も「いつ注文があるかわからない」と困惑している。