日本で野菜を栽培する中国人の中には実家が農家という人もおり、借りた土地や空き地に中国から運んできた野菜の種を植えるようになった。
新浦安に住む天津出身の周さんは、自身も夫も香菜に目がないのだが、残念ながら日本ではほとんど香菜を見かけない。周さんは日本での香菜栽培を夢見て、以前市が主催する農地の貸し出し抽選会に参加したが、当選できず、夢は叶わなかった。しかし、自宅近くの川辺を歩いていたとき、偶然雑草が生い茂る空き地を見つけ、ひらめた周さんはさっそく雑草を抜いて中国から持ってきた香菜の種を蒔いてみた。数日おきに水をやっていると、なんと異国の地で香菜が生えてきたではないか。香菜を身近に求めているのは中国人だけではないようで、ある日周さんが香菜に水をやっていると、あるタイ人の女の子がやってきて、「あなたが育てていたんですね。この前少し勝手に取って持ち帰ってしまいました」と言われたとか。周さんは「食べたいときに勝手に取ってくれればいい」と彼女に伝えたという。