iPhone Xは、スマホ価格に新たな指標を打ち立て、アップルの収益を押し上げた。だが高価格戦略はアジアの主要市場における同社の将来をリスクにさらしてしており、中国勢から市場シェアを奪われている。米ウォール・ストリート・ジャーナルが21日付で伝えた。
中国勢はアップルと直接競合する高額スマホの生産をさらに拡大している。高額スマホに搭載される機能を盛り込みながら、価格はiPhone Xやさらに旧型のiPhoneよりも安く抑えている。メタルボディや持続性の高いバッテリーなどハードウエアの強化に加え、より美しく自撮りできる特殊カメラを内蔵するなど、iPhoneにはない独自の機能を提供することで潜在的なアップルの顧客を狙い撃ちしている。
インドのルディヤーナーに住むグラフィックデザイナー、アブヘイ・シャヒさん(28)は最近、iPhone6からシャオミの「紅米ノート4」に乗り換えた。価格はiPhone Xの約2割だが、大半の最新機能を備えている。価格はアップルが2016年に発売した最も安いSEモデルを約100ドル下回る。
シャヒさんは「指紋センサーもついており、カメラもかなり性能がいい」とし、「高すぎる」iPhoneよりもカスタマイズしやすい部分が多いと話す。「まるで高額スマホのような品質だ」
調査会社カナリスによると、中国におけるアップルの市場シェアは約8%と、2015年の13%から低下した。昨年米国を抜いて世界第2位のスマホ市場に浮上したインドでは、アップルのシェアは2013年以降2%にとどまっている。アップルのインド向け出荷は前四半期に前年同期比で減少し、異例のマイナスになった。