つづいて河幅は次第に広くなり、道行く人と船もさらに数をふやし、ともづなをひく者、荷物を運ぶ者、往来はますます激しく、都会の多忙な熱気にみちた雰囲気を伝えている。近郊の船着き場には、大船がともを接した情景が描かれ、絵巻物はクライマックスに達し、虹のように河にまたがる大橋の下では、船乗りたちが危険このうえない緊張した労働に取り組んでおり、橋上と岸辺にはそれを見物する人群れがひしめきあっている。河に面した堤上には酒楼、茶店が軒をつらね、路上には車を推す者、肩に荷をかつぐ者、城門からは列をなしたキャラバンが出て行くところで、はるかに水運と連なっている。城内には商店が密集し、種々さまざまな店舗があり、人物は特に複雑である。騎馬の官吏、輿に乗った婦人、赤い服をまとった市民と労働者など、中国古代の清明の季節の繁栄した景象をじつにリアルに描いている。
絵巻物ぜんたいに描かれている人物は数えきれないほど多く、統計によると、絵巻物に千六百四十三人の人物と二百八匹の動物の他に、車と船がそれぞれ二十あまり、各種の家屋が三十余棟描かれているという。この絵巻物は北宋の盛世における東京 汴梁の商工業経済の繁栄した景象、当時の民情、風物と各階層の人々の生活の対比を広範に、かつ深く掘り下げて反映している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年3月30日