「中国都市総合発展指標」は、周牧之東京経済大学教授、陳亜軍中国国家発展改革委員会発展計画司司長、徐林中国城市小城発展中心主任を中心に編纂された。楊偉民中国中央財経領導小組弁公室副主任を首席専門家に、周其仁北京大学教授、胡存智中国国土資源部(省)元副部長、大西隆日本学術会議元会長、武内和彦中央環境審議会会長ら国内外一流の有識者からなる強力なチームが研究開発に携わった。
同指標は297にものぼる中国の地級市以上すべて都市を対象に、「環境」「社会」「経済」の3大項目を軸とし、都市の持続可能な発展度合いを立体的に評価・分析した。具体的に、3大項目の下には、「自然生態」「環境品質」「空間構造」「生活品質」「伝承・交流」「社会ガバナンス」「経済品質」「発展活力」「都市影響」の9つの中項目を置き、さらに27の小項目を置いた「3×3×3」のピラミッド構造で、複雑な都市の発展状況を解りやすく可視化し、分析した。 定量化した都市評価システムにより、中国の都市化に「デジタル化された規範」を提示したことで、中国で初めて権威性、総合性、応用性を兼ね備えた都市総合発展評価指標となった。各政府部門、研究機関、企業、そして中国の都市発展状況を理解したいと願うすべての人々にとって、重要な参考資料となるだろう。
中国都市総合発展指標2017によると、総合ランキングのトップ30都市は、全国の人口集中地区(DID)人口の40.6%を有し、中国GDPの40%を創出し、上場企業の67.2%を集め、さらに全国貨物輸出の68.7%と、全国の貨物輸入の80.7%を担っている。
本指標の開発をまとめた周牧之教授は、記者に対して「都市化はすでに大都市化、メガロポリス化の段階に入っている。大都市化の本質は世界的な中心都市の大競争である。都市の中心的機能を強化し、世界から人・資金・モノを集めるための魅力と受け入れ能力を高めることが肝要になる。1980−2015年の35年間で、人口が250万人以上増加した都市は世界で92都市もあり、その中の30都市が中国にある」と話している。
周教授はさらに「世界が大都市化に進むタイミングが、ちょうど中国の改革開放と合致した。中国の急速な都市化は世界の潮流と共鳴し、世界のパラダイムシフトと密接に関連している」とし、 「中国都市総合発展指標のもう一つの特徴は、毎年メインレポートを発表することである。2016年版は「メガロポリス発展戦略」に焦点を絞っていたが、2017年版は「中心都市発展戦略」をテーマにした。都市の中心的機能を評価することで、中心都市の育成を促進している。世界の大都市化をめぐる大競争への中国都市の積極参入を促している」と力説している。
中国には都市化の急発展によって無視できない問題がたくさん蓄積されている。出稼ぎ労働者の市民権取得をめぐる問題や、都市空間のスプロール化などの課題である。本書のもうひとりの主編である徐林中国城市小城発展中心主任はインタビューに応じ、「中国都市総合発展指標による評価は、中国の都市化及び都市発展の課題を明らかにし、都市発展の質を高めるため、様々な制度・政策措置を講じる必要性をも示した。これには農村部からの移住者の市民化の加速、都市ガバナンスの改善、都市インフラの新たな融資メカニズムなどが含まれる」と述べた。
「中国都市総合発展指標2017」の刊行は中国で大きな反響を呼んでいる。