米国のニューハンプシャー大学は先日、中国の大学入試の成績申請を受け入れると発表した。中国の大学入試の成績で志望者を評価する米国の一流州立大学は同校が初めてとなる。ニューハンプシャー大学の広報担当者のマンツ氏は、中国の大学入試の成績を受け入れるのはより多くの優秀な中国の学生を引き込むためだと説明。2017年秋時点で、同校の外国籍学生781人のうち中国人留学生はほぼ半数を占めていた。
英BBCは申請手順について、大学入試の成績を提出するほか、英語の試験とビデオ面接に参加し、高校の成績表を提出する必要もあると報道。マンツ氏は、合格基準は検討中で、中国の学生は米国の大学入学能力(ACT)または大学進学適性試験(SAT)を受けることになるかもしれないと明かした。
中国の大学入試の成績を受け入れている西側の大学
実は、西側の大学は以前から中国の大学入試に関心を寄せている。オーストラリア政府は大学入試について研究し、2009年に調査報告を発表。報告は、「オーストラリアの大学は大学入試を一種の有効な学生選抜方法にしてもよい」とした。シドニー大学は2012年から大学入試の成績を認め、現在オーストラリア国立大学、マッコーリ大学、ニューサウスウェールズ大学、アデレード大学、西オーストラリア大学など約20校の大学(うち7校は一流大学)が大学入試の成績を受け入れている。
米国ではニューハンプシャー大学のほか、サンフランシスコ大学、サフォーク大学、イリノイ工科大学などが大学入試の成績を受け入れている。米大学ランキング70位台のブリガムヤング大学は、大学入試の成績550点以上の学生が申請できる。2015年から、中国の高校生は大学入試の成績でサンフランシスコ大学に直接出願でき、IELTS、TOEFL、SATの準備に時間をかける必要はなくなった。
ニュージーランド有名校のリンカーン大学も最近、大学入試の成績での本科入学申請を受け付けるようになった。そのほか、イギリスの老舗有名校のケンブリッジ大学も中国の大学入試を認めている。上述の国以外に、シンガポール、韓国、ドイツ、イタリアなど約20の国と地域の大学が大学入試の成績を認可している。
受験生が人気を集める理由とは
大学入試を経験した中国の学生の能力は非常に優れている、イギリス誌『エコノミスト』は、ニューヨーク大学の学生募集担当者の話を引用し、中国の高校生は長年の植えつけ式の教育を受け、批判的思考力が欠けているが、大学入試の成績は有効的な評価手段だと論じた。また同担当者は、「中国の大学入試は自律能力など、米国のテストと異なる能力を評価する」と述べた。サンフランシスコ大学の校長も以前、大学入試には多くの批判もあるが、学生が特定の知識を習得しているかを評価しやすく、学習に対する姿勢、忍耐力も判断できる」と話している。
新航道国際教育集団(NEW CHANNEL INTERNATIONAL EDUCATION GROUP)副総裁・留学サービスセンター総経理の冉維氏は取材に対し、「中国の大学入試の点数に対し、西側の大学は信頼できると考えている。これは中国の大学入試が客観的視点からも、学生の学力の判断においても信頼度が高いことを意味する」と述べた。ニューハンプシャー大学のダーチャ副校長も同様の考えを持っている。ダーチャ副校長は、「米国の学校が中国の大学入試の成績を認めるようになったのは、大学入試の成績が良い学生の新知識学習能力は大学入試を受けていない学生より高いためである。米国の大学は、中国の国際学校から来た多くの学生が願書に書かれている内容ほど優秀ではないことに気づいた。また、中には偽の成績表もあるため、一部の米国の大学は中国の伝統的な選抜教育を受けた学生を重視するようになっている」と述べた。
ある分析によると、西側の大学は入学希望者の範囲を拡大して収入を増やす考えでもある。近年、多くの西側、特に米国は教育支出を削減し、大学の財政を緊迫化させている。そのため、大学入試の成績を認め、多くの中国人学生を合格させることも西側の大学の利益につながる。『ニューヨークタイムズ』は、中国人留学生はニューハンプシャー大学で年間4万5000ドル以上の学費と寮費を支払う必要があると論じた。統計では、米国にいる中国人留学生は37万7000人で、外国籍学生の3分の1を占める。彼らの多くが学費を全額支払い、米国の大学の重要な収入源になっている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年7月14日