ロシアのモバイル決済額は前年同期比で75倍になり、カナダは12倍、オーストラリアは6倍、マレーシアは8倍、ニュージーランドは7倍、フィンランドは5倍になった。支付宝(アリペイ)が8月15日に公表した最新データによると、今年の夏休み、中国人の海外旅行ブームに伴い、多国でモバイル決済の発展ブームが起きている。
多くの国が中国人観光客を獲得するためにモバイル決済を積極的に導入している。支付宝国際業務の責任者は、「外国の業者はモバイル決済を顧客獲得における秘訣とみなし、中国人観光客争奪戦で優位に立ちたいと考えている」と話す。
北京人は海外旅行の主力で、海外でもモバイル決済を積極的に利用している。この夏休み、北京の海外モバイル決済利用者は深センと上海に次ぐ3位になり、前年比で2倍以上増加した。
中国からの観光客は5年連続で世界一となり、延べ人数が日本の総人口を超えた年もあった。2018年夏休みだけを見ても、海外旅行者数は延べ3000万人に達した。フランス観光開発機構の中国責任者の斉勇氏は、中国人観光客がますます人気を集めていると話す。
中国人観光客争奪戦に勝つため、各国はビザ手続きや中国語学習に至るまで様々な措置を打ち出している。オーストラリアは以前、中国公民に10年の数次観光ビザを発行すると発表。フランス内務省のカズヌーヴ大臣は、中国の警察をパリに招いてフランス警察と共同で中国人観光客を保護したい考えを示した。また、中国語学習もブームになっている。先週、欧州のある店が早朝6時から店員に中国語の授業を行う動画がミニブログで話題になった。店員がアルファベットをふって中国語を学ぶ様子に、多くのネットユーザーが笑った。このような状況の中、モバイル決済も多くの国でイメージ向上のための方法となっている。
シンガポールのリー・クアンユー首相は昨年の夏休みの演説で、「モバイル決済が普及していなければ中国人観光客から遅れていると思われる」と発言した。1年後、シンガポールのモバイル決済普及率は大幅に向上し、タクシー、チャンギ空港、観光スポットの7割以上でモバイル決済が利用できる。また、シンガポール観光局は夏休みに店舗と共同で中国人向けの「支付宝割引」を設定。これは、中国人が慣れている割引方法である。
シンガポールのような人気の観光地だけでなく、ドバイのような新興の観光地も後に続いている。ドバイのMashreq銀行は、支付宝との連携を強化し、今後3カ月で支付宝を導入する小売店を現在の150店舗から1000店舗に増やす方針を示した。
アジア諸国と比べて、欧州のモバイル決済普及率は高くないが、中国人観光客を獲得するため、夏休み前に支付宝での税金の払い戻しが可能な空港を十数カ所から80カ所に増やした。欧州の税還付率は世界最高で、1割引き以上になる。 各国の「争奪戦」が繰り広げる中で最も得しているのは中国人観光客である。財布を持たずに外出するのが習慣になっている中国人だが、国内外の差が縮小し、海外でも習慣を変えずに済むようになっている。微博の調査によると、ユーザーの85%が海外に持っていく現金が減ったと回答している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年8月17日