「断捨離」が難しいという人もいる。捨てるのがもったいない、いらなくても買ってしまう、部屋を片付けてもきれいにならない、掃除して数日で散らかるという人にとっては、自分を見つめ直す絶好のチャンスである。実生活で「断捨離」が難しい人は、心にも多くの「断捨離」できないものがある。例えば、人、欲望、感情などである。「断捨離」を練習することは、心の世界を整理し、秩序を取り戻すことにもつながる。
行為主義の観点で言うと、心の世界と実際の行動は密接に関わっており、内心を変えることで行為を変えることも、行為を変えて内心を変えることも可能である。不用品を捨てると、自分の心も整理できる。買いたいという衝動を抑えることで、自分の欲望を管理できる。部屋がきれいだと、心も清々しい。実生活の「断捨離」はここの世界と密接に関わっている。
思い起こしてみると、デパートのセールで、自分に合わない服を買ったことが何度あるか。広告に促され、必要ないものを貯めたことが何度あるか。これらの決断は非理性的要素に妨害され、最も良い選択ではなく、面倒をもたらす可能性もある。米国の心理学者でノーベル経済賞受賞者のハーバート・サイモン氏は、「限られた理性」がパターンを決めるとし、「人は実際の決断時に完全に理性的になれない。人の決断は個人の態度、感情、動機、知識、経験などの要素に影響され、一部で理性的にしかなれない」と指摘する。
「断捨離」は「少ないが良い」という生活スタイルで、自分に合い、役立つものを選び、決断時により理性的になることを主張している。
「これらの物は自分に必要か」、「自分に合うか」、「本当に必要なのか。それとも焦っているだけか」を考えることが習慣になれば、理性的な決断力は向上したということになる。「断捨離」は自分は何が好きか、何が必要か、どのような価値観かなどを知るきっかけになる。自分をより知ることで、決断時に自分にとっての最大の利益を考えることができ、決断によって喜びと満足感ももたらされる。
無関係な要素からの妨害をブロックできれば、焦り、恐怖、人との比較などの非理性的な感情に巻き込まれることはない。例えば、同僚が最新モデルの高級品を購入しても、自分の状況を顧みずに真似することはない。そのため、「断捨離」は一種の生活スタイルというだけでなく、生活の知恵でもある。
2019年のインターネット人気ワードになった「断捨離」は、人々の削減するという欲望、シンプルな生活に戻るという望みを反映している。生活をよりシンプルにするには、「断捨離」を練習し、自分を知り、心を整理し、自分の生活をコントロールしなければいけない。(楊剣蘭)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年12月11日