北京市内には約28万8000人の配達員がいる。彼らはミツバチのように懸命に働き、風雨に負けず物流の「最後の1キロ」を支えている。
他人だが身近な存在である彼らをより理解するため、2018年末から3カ月にわたり、共青団北京市委員会は16~35歳の北京市内で働く配達員1710人を対象にアンケート調査を実施し、50人に取材し、81の質問を通して配達員の生活、技能、職業展望、社会参与などを全面的に理解した。
共青団北京市委員会研究室の王磊主任によると、アンケートと取材を通して作成した『北京市配達員調査報告』は配達員の3つ図を描いた。「人物図」を通して身分、「構造図」を通して必要とするもの、「路線図」を通して連絡のカバーと的確なサービスを回答してもらった。
調査に応じた配達員の中には男性だけではなく、若い女性もいる。ある女性配達員は、「女性配達員は有利で、客に道を尋ねると辛抱強く教えてくれる」と述べた。
データを見ると、調査に応じた配達員の6割弱が既婚者で、北京で働く配達員の過半数が家族のために奮闘していることを意味する。
収入に関しては、月収1万元以上の配達員もいるが、回答者のわずか3.09%だった。平均月収は6000元で、同年の北京市の労働者平均月収より1800元低い。月収1万元を超える配達員は少ないが、この平均収入は若者を引きつける妨げにはなっていない。取材で、歩合制の給与体制は、多く働き柔軟な勤務を望む若者を引きつけていることがわかった。
職業の発展においては、「転職が頻繁だが、向上余地が限られている」という特徴が見られる。配達員の教育レベルは全体的に低く、中卒以下は27.96%、高卒は62.23%を占める。回答者の8割以上が配達業に従事して4年以内、6割以上が2回以上の転職経験あり、半数以上が1つの仕事に就いて1年以内となっている。転職が頻繁だが、配達業は多くの出稼ぎ労働者が都市部で就く最初の仕事である。
彼らは北京で生活し、北京を愛している。回答者の7割が「北京が好き」、「北京の変化に関心がある」と回答。また、6割が「北京の発展に貢献した」と考えているが、北京での長期的発展を考えている人はわずか2割だった。ある回答者は、「実家と比べて北京は収入が高いが、消費も高い。将来はここに残らず、2年経ったら帰る」と話した。彼らは心では北京を愛し、溶け込みたいと思っているが、現実は「溶け込むのが難しく、とどまらない」という状況である。
北京を愛する配達員は都市に積極的に奉仕するボランティアでもある。調査で、6割超の配達員が、出前の配達または宅配の途中で人助けをしたことがあると回答した。1割以上が公益活動に参加し、警察に不審者の情報などを伝えたことがある。ある配達員は、「理解と感謝を伝えられると、自分がこの町に必要とされていると感じる」と話した。
調査でーたは配達員の姿だけでなく、彼らの悩みも浮き彫りにした。王磊氏は、「彼らの悩みを知ることで、社会はこの新興の青年グループにより奉仕できる。例えば、配達業の職業認識が低く、社会保障および配慮が不足し、今後の発展と心身の健康に着目する必要がある」と述べた。
王磊氏によると、回答者の多くが、現在は若いうちしかできない仕事をしており、将来どうなるかわからないと考えている。回答者の4割弱が1年以内に職業差別を受けたことがあるが、その状況を伝える方法、権利を維持する方法はない。
調査で、配達業には正式、システム的な育成体系がなく、企業の投入が限られ、配達員の技能と総合的な素養の向上は業界の発展速度より遅れていることがわかった。彼らは都市で生活するが、住宅、教育、医療などは社会保障体系から孤立している。これらの問題は全社会が共同で解決する必要がある。
王磊氏によると、配達員の北京を愛し北京に溶け込みたいという特徴に着目し、共青団北京市委員会は「12355」青少年心理・法律サービスホットラインを通し、配達員向けの心理・法律相談サービスを行う。また、オフラインではコミュニティ青年匯などに真心ステーションを設立し、配達員への関心と連絡を強化し、有効的なカバーを実現する。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2020年1月16日