北京市内に入る車両が長蛇の列をつくって医療関係者による検査を待つ。食料品を運ぶトラックもその列に並ぶ。北京に進入する車両はすべて運転手が新型ウイルス感染の兆候がないかチェックを受けなければならないのだ。新型コロナウイルス(新型肺炎)による感染が拡大する前から豚コレラや汚染、都市拡張などの影響で、14億人の食料をどう確保するかは難しい課題の一つだった。シンガポール紙「海峡時報」が伝えた。
パニック買いが起きて数日の間に、中国の関係当局は必需品の食料品や医療物資の「グリーン通路」を設けた。「いかなる食料品の価格高騰も社会の混乱を招く。政府がこの問題を最も重視しているのはそのためだ。ある意味、食料品はマスクよりもさらに重要」と北京東方艾格農業コンサルティング有限公司のシニアアナリストは言及する。
こうした措置は中国の首都・北京ですでに功を奏してきている。今週北京のあるスーパーに行ったところ、以前は品切れだった新鮮な果物や野菜が今では所狭しと並んでいた。買い物客に尋ねると、「もう何も心配することはない。必要なものは全部買い揃えることができる」と安心した様子だ。関係当局も先週、「物価が高騰した一部地域では、グリーン通路により物価が下がってきている」と説明した。
中国は全国各地にある貯蔵庫に大量の米や小麦など主要な食料を備蓄している。中国の食料・物資備蓄担当部門も食料が品切れにならないよう市場運営の安定を確保し、必要時には緊急策を講じるよう地方政府に求めた。関係者によると、中国の食料在庫にはまだ余裕があり、国内の年間消費量を上回る米や小麦の在庫があるという。その一方、豚肉の輸入を拡大したほか、国有の食品企業を再稼働させ、供給を増やすよう指示した。
米情報サイトCNBCは6日、宅配便の「無接触サービス」やインターネットで日用品を購入するなど外出を控え、食料品と安全を確保する試みが行われていると報じた。多くの中国人は外出せずにウイルスの感染拡大の収束をじっと待っている。これは宅配業者や電子商取引業者にとってはビジネスチャンスだ。北京のある宅配業者の責任者によると、以前は一人の宅配員が扱う宅配便は1日当たり140~150個だったが、いまは200個を超えると伝えた。
関係当局の呼びかけにより、公共の場への外出を控えるようになった人々は日用品をインターネットで購入するようになった。京東集団(JD)傘下の配送業務を行う「達達(ダダ)」によると、今年10日間の春節(旧正月)連休期間の売り上げは昨年同期比の4倍となった。生鮮食品の売り上げは2倍以上だったという。一方、出前の需要も伸び続けている。北京市によると、同市の出前の配達員として2万人以上が働き、美団(メイトゥアン)と餓了麼(ウーラマ)の大手2社だけで1日平均40万件の受注があるという。
宅配、特に食品を扱う出前配達もウイルスによる課題に直面している。美団、達達、ケンタッキー・フライド・チキン、ピザハット等は宅配便の「無接触サービス」を提供しているが、そのために効率が下がるのは否めない。
アナリストは「全体的にみると、ウイルスの影響が最も深刻な場所以外、中国の他の地域ではいたって正常に物流が機能している」と解説する。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2020年2月10日