では、一体何が「移民ブーム第三波」を促進しているのだろうか。
其の一:安心感の必需性。以前、中国大陸で数日を過ごした台湾の学生が、こんな事を言っていた。「大陸は、本当に刺激的!」急速に発展を続ける不安定な社会の中で、人々は強い競争意識や危機感、焦りを感じている。しかし、安定した静かな生活を求める富豪やエリートにとっては、先進国の方が、居心地がいいと言える。
其の二:資金価値保全の必需性。インフレの圧力やインフレ予想の試練に直面し、多くの新しい富裕層は資産の価値保全や増殖に対し、強い期待と焦りを感じている。しかし、今の中国社会では、投機の氾濫や投資市場の更なる縮小等が財産の「海外への押し出し効果」を引き起こす原因となっている。
其の三:子どもの教育のため。多くの移民は、子どもの健康と教育が最も関心を持つ問題だとしている。だが、中国国内の汚染、医療、教育問題は短期間では改善が難しい。こんな計算結果もある。中国国内における中学から大学までの学費と学校選択費(所属学区以外のよりよい学校に入学するために支払う高額な費用)、補習費用などの出費を合わせれば、移民にかかる費用とさほど変わらないという。
其の四:移民受入国の「熱意」。金融危機の後、多くの先進国は国内経済発展のため、投資移民政策を緩和し、中国からの投資移民をたくさん受け入れた。
『南方週末』のカナダ移民局のデータを引用した記事によれば、2009年カナダの投資移民目標人数は2055人、その内の1000人分を中国大陸からの移民が占めた。投資最低額の40万カナダドルで計算すると、2009年だけで、しかもこの「最低ライン」計算で中国からカナダに流出した財産金額は少なくとも23.5億元に上る。これだけあれば、万博の中国館が一つ出来上がる。