『インセプション』が大ヒット 催眠を受けるホワイトカラーが急増
他人の夢の中に侵入し、そのプライバシーを覗いて、新しい記憶を植えつける――これはいま大ヒットしているハリウッド映画『インセプション』(中国語題:盗夢空間)のプロットである。しかし現実の世界にもこうした「盗夢師」がいる。催眠術師だ。映画の中ほどの神通力はないが、彼らのもとにはストレスフルなホワイトカラーたちが通ってくる。『インセプション』が話題になってから、「盗夢」を体験したがるホワイトカラーが急増し、広州では「盗夢師」の最高値が1時間6000元にも達した。
「ここ数週間はほぼ予約で埋まっています。『盗夢』の原理の多くは催眠なのです」と台湾からやって来た心理カウンセラーの蕭語禾さんは話す。催眠を受ける「常客」のほとんどがホワイトカラーで、年齢は20歳から40歳。仕事と感情面の悩みが多い。蕭さんは、ストレスフルな環境に身を置いているホワイトカラーにとって、催眠はストレス低減の手段のひとつになっていると分析する。催眠に好奇心を抱いている人も多いという。
「催眠は皆さんが考えているように、眠りに入って、意識がまったくなくなり、どんな質問にもよどみなく答えるというものではありません」。蕭さんによると、催眠は潜在意識との交流であり、人は誰しも心の防御システムを持っているため、その防御システムに触れると、被催眠者は覚醒するという。
一般的に催眠には2種類ある。一つは伝統的な催眠法で被催眠者を誘導するもの、もう一つは自然催眠で、これは私たちが日常的に経験しているものである。「授業中ぼんやりしたり、喫茶店でぼーっとしたり、これらはある程度の催眠といえます」と蕭さんは説明する。広告も自然催眠のひとつであり、知らず知らずのうちに潜在意識に入り込んで、買い物の際にその商品を思い出させる。