権力とは政府の公的権力を指すのみならず、一般人の人間関係にも存在する。権力の濫用も一部行政職員の過失以外にも、教員、警備員、門番、オペレーターら、権力が集中する一般人はいずれも権力の濫用者となる可能性がある。「中国青年報」が伝えた。
中国青年報社会調査センターが先週1万1219人を対象に行った調査結果によると、個人的観察と自身の生活体験から、94.8%の回答者は日常生活において一般人が権力を濫用する現象がまかりとおっているとした。うち、68.3%の人は日常生活での権力濫用現象が「非常に多い」、26.5%は「比較的多い」と答えた。
65.9%の回答者は「日常生活において一般人が権力を濫用することは公的権力の濫用と同様に恐ろしい」と認識、異論を唱えた人はわずか35.4%にすぎなかった。
この種の日常化した「暗黙の了解」について、楊さんはこういうことを耳にした。楊さんのめいは今年小学3年生。身長が低いのに、座席が後ろになり、めいは黒板が見えないと両親に日頃から不満を打ち明けていた。母親はクラス担任に相談したが、いくら待っても解決されなかった。その後別の友人の薦めで母親は贈り物を手に再びクラス担任に相談したところ、翌日には前列へ席替えをしてもらったという。
今回の調査では、過去に他人の権力濫用で被害を受けたとした人が88.2%に達した。
「このデータがある程度現代社会の現実を反映していることは事実」。清華大学社会学部の郭於華・教授は取材に対し、現代社会では他人を傷つけ得をする、果ては他人を傷つけた上に自分も損するといったケースは珍しいことではなく、権力利用が横行し、社会の在り方も益々悪化していると指摘した。
このような状況を生み出す背景は何か?79.9%の回答者はその原因が「権力に外部からの拘束が欠けている」ことにあると回答、35.3%は「権力を有する人に抑制心が欠乏」、34.7%は「『権力があれば、やり過ごせば無効になる』という勝手な心理が働いている」とした。
中国政法大学政治学博士の周コウ氏は、日常生活の中で大量の権力濫用が認められる主な原因として、公的監督管理が不十分なためだと認識している。「ルールを守る習慣が養われていない人達は常に、あらゆる機会を自身の利益追求に利用している。公的権力による監督管理が欠ければ、権力の濫用が生まれる」。
また現代社会での人間関係を「非常に友好的」と認めた人はわずか0.8%、「友好的」が8.2%だった。18.8%は「あまりにも友好的でない」、30.0%は「あまり友好的でない」、のこる42.2%の人は「普通」と回答した。
※コウは「さんずい」の右に「景」、さらに右に「頁」
「人民網日本語版」2010年9月28日