息子に会って非常に感動した様子の李春鳳さん
浙江省温州から重慶の黔江までは約2000キロ
浙江省で5年間アルバイトをしていた29歳の李春鳳さんは、ある深夜、全身血だらけの6歳の息子が、ネズミと食べ物を争っている夢を見た。翌日、彼女はオートバイに乗り、浙江省から6日間をかけて約2000キロ離れた重慶にいる息子に会いに行く。
経済的に苦しい李さんの家ではベッドもレンガ製だ。「単騎、千里を走る」を思い出すと、「あまりにも興奮していた」と李さんは苦笑する。
李さんは息子が1歳3ヶ月の時に単身、浙江省温州へ出稼ぎに行き、レストランで仕事を始めた。家に帰るのは毎年、春節の何日かだけ。そのため息子とのふれあいも少なく、息子の母親への感情も薄い。
「先月の風雨が強かったある夜、大風で窓が開き、雨が降り込んで来た部屋に、全身血だらけの息子が1人で、ネズミと食べ物を争っている夢を見た。驚いてすぐ目を覚ましたが、汗びっしょりだった」。これが夢であることは李さんも分かっていたが、その時はどうしてもすぐに家に帰って息子に会いたいと思ったという。
ちょうど1カ月前に李さんは5000元で中古オートバイ「太子125」を買っていた。そしてレストランの経営者に休暇届けも出さず、涙を流しながら荷物をまとめてオートバイで故郷に急いだ。