茅台酒(マオタイしゅ)の販売価格はこの2年で50%以上値上がりしているが、未だ供給がその需要に追いつかない状態が続いており、最近中国で最もホットな新年の話題の一つとなっている。韓国の『毎日経済新聞』によれば、茅台酒は値上げ後も人気が衰えない理由は、その「国酒」としてのブランド価値にあるという。特に春節(旧正月)が迫るこの時期、茅台酒は最も理想的な贈り物であり、「茅台酒1本あればもう十分」なのである。そのため、中国市場における茅台酒の人気はますますその勢いを増している。米国ブルームバーグニュースの9日の報道によれば、通常の茅台酒1本でも、多くの都市におけるマンション1ヶ月分の家賃に相当する価格となっている。それは、「中国においては、酒の席に茅台酒を置いて客をもてなすことが、良好な関係を築くための重要な手段だとされているから」である。また、「中国では、商談は会議室ではなく、主に酒の席で成立する」こともあり、価格はここ7~8年ずっと上がり続けてはいるが、需要に追いつかないほどの売れ行きなのである。
英・インディペンデント紙によれば、中国の茅台ブームはそれ自身の価値と口コミ、豊かになった中国人の消費需要、中国の贈り物文化、投資者の大々的宣伝等、様々な要因によるものだという。米・ケーブルニュースネットワーク(CNN)は、茅台ブームが中国の最新の経済実情を反映しており、また茅台酒そのものの知名度、希少価値、長期間保存可能等の特性により、投資に力を入れる中国人たちの人気の的になりやすいとしている。
「中国人は友人に良くしすぎるのか何なのか、こんなに高い酒でまだ商談も成立していない相手をもてなすのか?」ロンドン南部のバーを経営しているボブは『環球時報』の記者に感慨深くこう語った。「イギリスにもスコッチ・ウイスキーという高い酒がある。だが、ここでは一番高くても1本50ポンドほどだ。ここで商談成立を祝うものも多くいるが、瓶で注文することはめったにない。多くても1人4~5杯飲む程度だからね。」また、ボブは昨年の夏、中国へ旅行に行き、その「酒文化」を目の当たりにした。彼は、友人と一緒に火鍋をつつきながらビールを飲むのが好きだという。中国の酒の席では、1テーブル当たり数万人民元かかり、ドリンク料金がその半分ほどを占めると聞き、彼は舌を出して首を振るしかなかった。
ロシアのある酒類サイトは、茅台酒を中国の「第二の貨幣」と称している。サイト文によれば、茅台酒のような高価な酒が幅広い人気を集めていることで、中国にはこの類の高価な贈り物を売り買いする巨大な市場が存在しており、それらはいとも簡単に本物の貨幣になるのだ。
カナダ・モントリオール・ガゼット紙掲載の文章では、止まらない茅台酒の値上げについて、それ自身が高品位、ブランド力の象徴であり、中国の新年や祭日に盛んに行われる贈り物文化の重要な媒体になっているとしている。新年や祭日になれば、その価格は驚異的な勢いで上昇する。また、多くの不法者達がこの茅台ブームに狙いを定め、ニセ酒を製造するために至るところで茅台酒の空瓶を高価格で買い取っており、前世紀70年代製造の空瓶価額は、数千元にまで達したという。茅台グループの偽造防止チーム80名も対応に追われる日々を送っている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年1月31日