米アップル社のIPadやIphoneは、中国国内でも爆発的な売れ行きを見せている。しかし、中国にある同社サプライヤ(下請け工場)の工員137人が、化学洗浄剤ノルマルヘキサン中毒による健康被害を受けていることが明らかになった。アップル社は、15日に発表した2010年のサプライチェーン管理報告書においてその事実を初めて公に認めた。「北京晨報」が伝えた。
2010年、中国国内の国内環境保護団体36機関がIT産業における汚染問題の解決を促すため、ITブランド企業29社に何度も働きかけてきた。彼らは、「IT業界重金属汚染調査研究報告(第4期)アップル特別号」において、アップル社下請け工場における労働安全、環境保護、従業員の権益・尊厳に対する疑問点を提示した。また、アップル社に対し、下請け工場の実情を明らかにし、蘇州聯建科技公司と運恒五金公司の工員のノルマルヘキサン中毒問題について回答するよう求めた。
アップル側はずっと、これに対する回答を避けてきたが、今回の報告書で初めて、ノルマルヘキサン中毒による工員の健康被害を認めた。
全部で25ページに及ぶ同報告書は、1章がノルマルヘキサンの使用に関する説明に割かれている。報告書では、「2010年、我々はサプライヤである勝華科技蘇州工場(蘇州聯建)の工員137人が、ノルマルヘキサン中毒による健康被害を受けている事実を確認した。我々は同工場に対し、ノルマンヘキサンの使用を中止し、この化学洗浄剤が生産ラインで用いられていない証拠を提示するよう求めた。また、通風システムjの改善についても要求した。これらの措置を講じた後、中毒による健康被害を被った工員はいない」と説明されている。
アップル社によると、健康被害を受けた工員は全員、治療を受け、その経過は良好という。同社は、「我々は、工員が完全に健康を回復するまで、健康カルテのチェックを続ける。勝華電子は、関連法律法規に基づき、被害を受けた従業員に対し、健康を回復するまで医療費と食費を支給し、給与補填も行う。137人のうち、殆どは工場の仕事に復帰している」と説明している。
ノルマルヘキサンは、製品の製造プロセスで部品の洗浄に用いられる化学薬品。下請け工場では、製品のアップルマークの洗浄に使われていた。揮発性が高く、毒性はかなり強いという。
「人民網日本語版」2011年2月17日