中国翻訳協会主催、中国第二外国語学院運営担当の2011全国通訳コンテストが10月22日北京第二外国語学院で開かれた。
中国の国際的地位の向上、対外双方向交流の急増により、ハイレベルの外国語通訳・同時通訳に対するニーズが大幅に増えている状況を踏まえて、北京第二外国語学院は今回で4回も全国の大学外国語学部、外大などを対象に全国的範囲のコンテストを開催してきた。私も長年実務にたずさわり、第一線から引退してからも、「学問」ではなく「楽問」、楽しみとして翻訳・監修、論評の世界でサーフィンを続けているが、今回も実務の世界でもまれた人間としてのアングルから現在の通訳界を見てもらいたい、ということからか評議員の1人として招かれた。
そういうことで、二、三の感想を述べさせてもらうと、一、今や翻訳、通訳の世界の構造、ニーズは私たちの世代よりグレードアップしており、私たちの世代の多くはもはや時代についていくだけで息切れを感じるご時世になっている。私の若い頃は中国はまだ対外開放の時代に入っておらず、ごく少数のものしか国外の新聞・雑誌に触れる機会がなかったので、その時の「リードタイム」で数十年間のほほんと暮らしてきたような状態にある。これからは多くの人たちがいろんなメディアを通じて国外の情報に接する時代になることはまちがいなく、もはや古い意味での「希少価値」は刻一刻としぼんでいくことを実感している昨今である。今回のコンテストでの若者たちのパフォーマンスを見て、このことをひしひしと感じた。
二、今の若者たちは、外国語ができる人の数が急増している環境にあるので、「就活」などでは買手市場の波にさらされていることだ。私見ではあるが、「就活」で自分にもっとも適した仕事につけなかったら、アイデンティティの確立という点で悩み続けることになろう。