国際連合総会の補助機関「国際連合開発計画」(UNDP)は2日、健康や教育、収入などの水準に基づき、人間開発指数を算出し、187カ国・地域の開発状況をランク付けしている2011年版「人間開発報告書」を発表。ノルウェー、オーストラリア、オランダがトップ3となり、中国は101位にとどまった。中国共産党の機関紙「人民日報」(海外版)が報じた。
同指数は総合的データをベースに算出しているため、一国の異なるグループの相違を反映することはできない。そのため、同報告では国内の健康や教育、収入などの分野の不平等な現状も考慮に入れて調整が加えられた指数も算出されている。調整後のランク付けでは、ノルウェーが1位の座を維持、中国は70位に順位を上げた。一方、米国は4位から23位に、韓国が15位から32位にまで順位を下げている。
中国の人間開発水準は改革開放(1978年)後、急速な高まりを見せ始めたことは紛れもない事実だが、同報告書は、経済発展の水準に対し、人間開発水準の向上が遅れていることを明らかにしている。調整前の101位にしても、調整後の70位にしても、世界2位の経済大国という立場から考えると、やはり見劣りすると言わざるを得ない。現在、中国は科学技術のイノベーションという面で絶え間ない進歩を成し遂げている。独自開発したスーパーコンピューター「天河一号」を世に送り出した。2007年には月探査機「嫦娥1号」を打ち上げ、月軌道に到達した5番目の国となった。2008年には極地科学調査用の砕氷船「雪龍号」を北極に送り込み、今年に入ってから、有人深海潜水艇「蛟龍号」の最大水深5188メートル潜行を成功させた。世界最速とされる高速鉄道が開通、先日は宇宙ステーションの雛形「天宮1号」と「神舟8号」のドッキングまで成功させた----。さらに、都市の住みやすさ、国民の幸福指数も現在、発展における新しい理念となっている。しかし国連のデータでは中国の「人間開発指数」水準は他の経済大国に大きく後れを取っている。これは、中国に対する一種の警笛であり、国民の生活をまだ全面的に向上させる必要がある中国の現状を映し出す鏡のようなものであると言えるのかもしれない。