文章:加藤嘉一
最近、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」を翻訳出版した。2009年12月に日本で出版されてからこれまでに300万冊以上売れ、村上春樹の「1Q84」を超えた。私自身、この本を中国に紹介できてうれしく思っている。現在、全国各地の大学で講演し、日本と中国のキャンパス文化について学生たちと意見を交わしているが、その違いは何だろうか?
「もしドラ」は日本では当初1万冊しか出版されていなかった。出版社も市場に受け入れられるかどうか自信がなかったのだろう。しかし、当初オタクにしか受け入れられなかった同書は、次第に企業家やビジネスマンに読まれるようになり、最終的に学校、病院、政府、スポーツ団体、教会、そして主婦へと広がっていった。同書の斬新な点は、「感動しながら、マネジメントを学べる」を実現したことである。
日本には「甲子園」という場所がある。「阪神甲子園球場」の略称だ。ここでは春と夏に全国高校野球選手権大会が開かれる。地方予選を勝ち抜いたチームだけが、甲子園への出場資格を得られる。「もしドラ」は、東京のある高校の弱小野球部でマネージャーをつとめる川島南が経営学の父、ドラッガーの「マネジメント」の内容を応用し、野球部を「甲子園出場」に導いていくという話だ。