環球時報はこのほど米月刊誌「THE ATLANTIC」12月号の記事を引用し、以下のように報じた。
サンフランシスコ・チャイナタウンにある某職業センターの社長、余さんはこれまで様々な顧客と接してきた。その多くは典型的な中国人移民だ。例えば沈明発さん(39)は、9歳の娘の英語学習のため、昨年秋に一家でサンフランシスコに移民した。まず初めに訪れたのがチャイナタウンだ。ここなら現地生活にスムーズに溶け込み、仕事や移民に関する問題も解決することができる。
しかし最近、余さんはある変化に気づいた。顧客の数が増えないばかりか、むしろ徐々に減っている。つまり、皆チャイナ・ドリームを追いかけて中国に帰国してしまったのだ。
沈さんはその後、仕事が見つからず、たまに臨時雇いの仕事をするだけだ。「中国では皆いい暮らしをしている。大きい家に住み、立派な仕事がある。向こうの暮らしのほうが良いに決まっている」。米国に移り住んだ後、知り合いは皆中国に帰ってしまった。
近年、中国政府の提示する好条件に惹かれ、非技術者を含む海外留学者が相次いで中国に帰国しているという。中国では現在、国内の労働力が不足しており、賃金も上がっている。仕事の選択肢も増えた。ワシントンのシンクタンク「移民政策研究所」が発表したある研究報告によれば、移民がただの一方的な人口流動だという見方は間違っている。移民の流動の変化は実は非常に複雑だ。同研究所のパパディメトリュー所長は「現在、中国に帰国する人は増えています。現在はまだ少数ですが、米国の雇用条件が悪化する一方、中国の条件は安定しており、もしくは改善が見られる。このような状況では、帰国する人はますます増えるでしょう」と語る。
ここ5年間、米国に移民する中国人の数は減りつづけている。中国の台頭および移民の減少は、これまで華人移民が集まり、助けを求める場所だったチャイナタウンの没落を招いている。
「ゴールドラッシュ」の時代から、中国人はいつも各地に赴いて金を稼ぎ、金持ちになって帰国することばかり考えてきた。しかし今、富は中国国内にあるのだ。
華人の移民が大量に帰国したことで、在米華人にとって関わりが深いこの場所が消滅の危機にある。2年前、華人居住区を訪れた時、運命はまだ未知数の状態だった。しかし、中国が引き続き高成長を遂げれば、チャイナタウンは存在理由を失うだろう。米国に移民するよりももっと稼げる場所があるからだ。
「人民網日本語版」2011年11月14日