中国の美術系大学の最高峰「中国美術学院」(杭州市)は1日、2012年度の新入生の申込状況を確認。新入生募集事務所の李都金主任によると、「中国画や書道など伝統芸術学科の中国人入試申込者は近年、減少しているのに対し、海外留学生には非常に人気を博している」。中国国営の通信社「中国新聞社」が報じた。
同学院は今年、1665人の新入生募集に対し、過去最高数となる8万9万千人(前年比50%増)以上の申込があった。同学院の王賛副院長は、「国が文化の発展、繁栄戦略を大々的に推進していることに加え、学校のブランド価値が学生らに認められるようになっている」と人気の秘訣を語っている。
国連教育科学文化機関(UNESCO)が2010年に発表した世界美術大学ランキングで同学院は、フランスの「パリ国立高等美術学校」とロシアの「サンクトペテルブルク美術大学」に次ぐ3位に入っている。
このように同学院は名実ともに実力のある美術大学として知られているものの、王副院長は取材に対し、「出願倍率が100倍にもなる設計などの専門学科に比べ、中国画や書道など中国伝統文化・芸術系の専門学科は20倍ほどにとどまり、明らかに人気が衰えている」と指摘。「これは当学院の各専門学科の中でも非常に倍率の低い部類に入る」としている。
この点について、李主任は、「これらの専門学科を専攻しても就職が難しいことが原因の一つ」としている。一方、ある学生の保護者は、今の若者たちは目新しいものを好む。一方、伝統文化・芸術についてはほとんどなにも知らず、興味を持つのは難しい」と指摘。また、今の若者はパソコンに向かう時間も長く、まともに字を書くということもままならなくなっており、「書道」となればもってのほかとなってしまうようだ。