今回の東日本大震災で発生したがれきは阪神淡路大震災の1.7倍である。また、放射線の汚染への懸念もあるために、がれき処理がなかなか進まないのである。
中国の研修生仲介を行なう李欽差氏は日本政府のがれき処理問題への対応の緩慢さを理解できないと言い、「中国だったら考えられないことだ。四川大地震の際、1年後には新しい住宅が建ち始めていた。日本では、まるで災害が起こったばかりのような光景だ」と話す。震災からの1年近くを、李氏は深刻な津波被害に遭った岩手県の大船渡で過ごした。積もるがれきの山を目の前に、李氏は驚きを隠せずに、「日本人はがれきの処理を、家屋の再建よりも重要視しているようだ」と言う。
松本龍・元復興相は「中国が復興支援をしてくれる事は非常に素晴らしいことである。今、専門家の多くが中国の支援に注目している」と声高に賛辞を送っていた。しかし、日本はいつまでも実現できないでいる。日本政府は大震災への対策について以前、「短期的な」支援計画を立てていたが、結局実現には至らなかった。今回も、被災地のがれきは、未だに支援してくれる相手を見つける事ができずにいる。
岩手県陸前高田市の市役所に勤める大和田智広氏は中新社に対し、「政府の復興支援の緩慢さに対する被災者の不満の声は途絶えない。未だに津波で流されたがれきが元の場所に残ったままになっている。時間が経っているため、環境はおろか住民の心身にも悪影響を及ぼすことになる。また、故郷が未だにがれきに覆われている姿を見ると、悲惨な出来事を思い出してしまうという弊害もある」と語った。
ここ1年間、陸前高田市はがれきの処理にほとんどの時間を割いていた。2012年の復興事業に関する予算は、1/3ががれき処理のためのものである。これはもちろん、政府からの支出となるが、「現地の焼却炉は膨大な処理量に耐えられない。県外での受け入れも難しいため、予算があっても待つしかない」と大和田氏は言う。
がれきの処理が遅れる原因はもう一つある。「津波で流されたがれきには個人の所有物が多く混ざっている。そのため、政府は個人の同意を得てから処理する必要があり、どれを残すか処理するかで所有者と相談して決めていかなければいけないのだ」という。「がれきをどうのようにして受け入れてもらうか」は、被災地自治体が一番頭を悩ませている問題である。自治体職員はがれきの処理ルートを探すために四方八方駆けずり回っている。
つい最近、岩手県岩泉町は、東京都でのがれき受け入れに成功した。岩泉町のがれきが受け入れられたのは、町が岩手県の最北端に位置し、福島原発から遠く離れており、放射線汚染の可能性が低いからである。陸前高田市の場合は、福島県からあまりにも近いため難しく、未だにがれきを受け入れてくれる相手が見つかっていない。実際、陸前高田市の放射線量は東京と大して変わらないのだが、そこが「風評被害」の恐ろしさである。
そのため、政府は現地でのがれき処理の方法を模索するしかない。日本の林業管理事業は資金を投入し、4つのゴミ焼却炉発電施設を建設する予定で、これにより大震災で発生した膨大ながれきを処理するという。ゴミ焼却炉発電施設は岩手県と宮城県での建設を予定しており、毎年20万トンのゴミ焼却、同時に1万6000キロワットの発電、家庭用電力需要3万軒分のカバーを目標としている。
しかし、発電施設は早くとも2014年からの稼動となる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年3月8日