日本の近郊電車は、交通手段というよりも、都市文化を構成する重要なパーツというイメージが大きい。しかし、最近だんだんと、この電車は、痛ましい現実社会を映し出す鏡にもなっている。日本新華僑報網が伝えた。
日本最大のサーチエンジンGOOで「人身事故」を検索すると、62万7千件がヒットした。これらのサイトの中には、ぞっとするような数字や、胸が張り裂けるような文章が掲載されているものもある。「人身事故」とは普通、近郊電車や地下鉄が走行中に発生した死傷者を伴う事故のことだが、このほか、電車への飛び込み自殺である場合も多い。駅で、電光掲示板に「人身事故」という言葉が表示されるたびに、乗客はとっさに、誰かが電車に飛び込んだのだなと思う。電車への飛び込み自殺は、現在の日本では、非常にポピュラーな自殺の方法のひとつとなり、その痛ましさは切腹にも引けを取らない。この方法ならば、死亡する確率はほぼ100パーセントだ。
朝日新聞の報道によると、13日には地下鉄東西線早稲田駅で、翌14日には東武東上線練馬駅でそれぞれ、人身事故が発生した。事故が起きたのはいずれも運転ピーク時だったため、列車には1時間以上の遅延が生じ、運営事業者には巨額の経済的損失がもたらされ、さらには、乗客数万人の足に影響した。「自殺が増える『ブラックジュライ(黒い7月)』がやってきた」。乗客からはこんなひそひそ話も聞こえる。
日本のインターネットでかつて、飛び込み自殺の実写動画が公開されたことがある。電車が動き出した時、ある乗客がうっかり携帯電話の動画撮影ボタンを押したため、電車に飛び込んだ男性の最期の3秒間が記録されたのだ。飛び込む動作、鮮血が飛び散り、叫び声が響き渡った。ベテランの係員が懐中電灯を手に素早く駆け付け、手慣れた様子で電車の先頭部近くを青いシートで取り囲み、事後処理を進めた。「遺体は電車の車輪に巻き込まれ、まるで腐った魚の身のようだった」とある目撃者は述べた。
日本政府の統計データによると、2011年末の時点で、日本の自殺者は、14年連続3万人を上回った。1日あたり85人が自殺という選択をしており、自殺率は世界トップだ。車両の運行を阻害された事業者は、関連法規に基づき、自殺者の遺族に数千万の損害賠償金を請求する権利が与えられている。「万事において、他人に面倒をかけることをよしとしない」日本人なのに、多くの人々に迷惑をかけるやり方で一生を終える選択をする。しかも、通勤ピーク帯や利用客の多い駅をわざわざ選んで飛び込む割合は、ますます高まっている。1日に数人が、東京都内の複数の駅で、連続して飛び込み自殺を行い、都心部の鉄道網が全面的に麻痺することもある。自殺者は、電車に飛び込みでこの世の最期を迎えることで社会事件を造り出し、現実世界に対する絶望を現実社会への報復に変えようと思っているようだ。