「自殺大国」という不名誉なレッテルを貼られても、日本政府は手も足もでないのが現状だ。東京都内で改修が行われた地下鉄駅のプラットフォームには、軒並み防護用柵が設けられ、多くの近郊電車の駅には、電車の先頭部停止位置付近のホームに柵や手すりがつけられた。これらは明らかに、飛び込み自殺を防止するための措置だ。また、日本政府は2007年、「自殺対策基本法」を制定、2010年9月には、「自殺対策プロジェクトチーム」を発足させた。各自治体でも相談窓口を設置、多くの民間団体も積極的に参与し、自殺ホットラインやメンタル相談などの各種サービスを前向きに展開した。しかし、これらの措置は応急処置に過ぎず、根本的な改善策ではなかったため、効果はいま一つだ。
率直に言うと、人として生まれた限り、数々の苦しみを経験するのはごく当たり前のことで、自殺はどの国でも見られる。日本人の自殺率が突出している原因についても、さまざまな分析がある。しかし、筆者から見ると、日本社会が「欠陥美」という特徴を追い求めることが、自殺者が減らない原因のひとつだと思われる。周知の通り、日本は全ての物に完璧を求める国だが、日本人は、「美」に対する独特の世界観を持っている。例えば、日本の民間釜から生まれた優れた芸術品である「有田焼」は、精巧に作った磁器にわざと穴や割れ目を設けて欠陥美を表現している。この特徴によってこの世に2つとない命が吹き込まれている。また日本人はあでやかに咲き誇る満開の桜よりも、はかなく散りゆく桜を愛でる。心の中に深く根差した「欠陥美」を愛でる価値観により、日本人の生死の境があいまいになっているのではないだろうか。
「人民網日本語版」2012年7月17日