中国では近年、環境問題が住民と地元政府の衝突を引き起こす要因となるケースが増えつつある。こうした現象は、中国の経済・社会発展が特殊な「環境敏感期」に突入したことを意味しており、国民の環境に対する「敏感」な態度、しいては「不安」に、真剣に目を向けるべきだ。「人民日報」が報じた。
過去と比べると、国民が「敏感」になっているのは、環境汚染が今後、深刻になるからとか、企業の汚染程度が深刻になっているからとは、一概には言えない。実際には、環境保護の技術が進歩し、環境評価基準が厳格になるにつれ、新たな建設プロジェクトの汚染物質排出設備やその水準は国内外でも最先端のものとなっている。では、国民の反対の声はなぜ一層高まっているのだろうか?
生態環境が破壊されることへの懸念に起因した住民と地元政府の衝突は、先進国では比較的よく見られる光景で、反対する住民の心理状態は「NIMBY」(ニンビー、自分の裏庭にはあってほしくないとの意)と呼ばれている。政府部門は社会や環境に影響のある公共施設を計画・建設する際、往々にして建設地周辺の住民の反対を受けるのだ。中国でも、改革開放(1978年)のころには薄かった国民の環境保護に対する意識が今では向上。「生存型」時代の「冷淡」から「発展型」の今日の「敏感」へと変わり、ニンビーが普遍的になっている。これは、国民の合法的権利に対する意識の向上でもあり、中国の経済・社会発展がさらに高い段階に足を踏み入れていることの証とも言える。
ニンビーは、1つの施設の建設が中止されたり、1つのプロジェクトがほかの場所に移されたりすることで、収まるものではない。ある場所で反対を受けたプロジェクトはほかの場所に移されても、また新たな場所の住民の反対を受けることが、それを裏付けている。重大プロジェクトや必須施設建設の前に立ちはだかる壁をいかに乗り越え、住民の「環境不安」を取り除くかが、現在と今後の課題だ。