先進国であっても、公共施設に起因する生態へのリスクは完全には避けられない。一方、発展途上である中国にとって、粗放型の発展方式を完全に避けるというのは不可能で、「転換中」の経済の現状でも、「汚染ゼロ」の実現は至難の業だ。環境保護の水準向上は国民が予測するスピードでは進まず、その上、一部の地域のプロジェクト誘致の透明性は低く、公共的意思決定は民意を反映していない。そのため、住民が汚染に対する「推測」を行い、「環境不安」へと発展していく。
そのため、「環境不安」を取り除くことが、国民の環境保護に対する期待に応える政府の新たな課題となり、プロジェクトの経済価値を追求するだけでなく、その環境価値や社会的リスクを考慮することが一層必要になる。プロジェクトが着工する前に、情報を十分に公開すれば、住民は情報の欠如に起因した「憶測」を行う必要はなくなる。また、プロジェクト建設の公共的意思決定において、公聴会や協議を実施することで、民意の最大公約数を追求すれば、住民との衝突は避けられるだろう。
「環境不安」は、根本原因である心理的要因から取り除かなければならない。大型プロジェクトや公共施設の利点や收益を社会と共に分かち合いたいというのであるなら、施設周辺の少数の住民がそのリスクやコストを負担しなければならなくなり、誰でも「自分の裏庭にはあってほしくない」という気持ちになるだろう。そのため、環境影響評価の認定を得ても、一定の生態リスクを抱えているプロジェクト施設に対して、権威者が関連の知識の普及にすぐに取り掛かり、国民の期待に応え、リスクの拡大を避ける以外に、国民の感情や合理的な請求を理解し、影響を受ける住民に対して、合理的な補償を実施することも急務である。
経済発展と環境保護の調和を求めることは、世界が現代化の過程で直面する共通の課題。一方、青く澄んだ空やきれいな水は、人類共通の願いである。発展段階の中でも、特殊な「環境敏感期」への突入は、科学の発展を実現させるためには避けられない道で、現実を直視し、ニンビーを理解し、意思決定の過程を見直し、環境恐怖を取り除くことから着手しなければならない。
「人民網日本語版」2012年8月29日