賀氏は「地方からやってきた人は北京市の経済発展に影響を与え、大きな貢献をしてきた。北京市の第二次産業の付加価値は10年、前年比13.6%増の3323億1千万元(約4兆円)に、第三次産業は9.1%増の1兆330億5千万元(約12兆4千億円)だった。さらに11年、北京市の第三次産業が国内総生産(GDP)を占める割合は78%を超えた。この2産業で大きな役割を果たしているのが地方労働者」との見方を示している。
つまり、今の北京を構築するのに、地方からやって来た多くの人の支えが必要だったということだ。これは、今後も北京の一時的居住者の数が顕著に減少することはないとする見方の根拠となっている。
北京は巨大な市場で、膨大な需要を抱える。需要があれば、供給が必要となる。そして、各業界の人材供給は、常住者だけではまかないきれない。ただ、いかに北京に流れ込む人の数を制御するかは、地方当局が検討すべき問題であるが、そう簡単にいく問題でないのも確かだ。
賀氏は「この問題を解決するための特効薬はない。現在、北京の人口が起因となっている問題はシステムの問題。この種の問題は長い期間に渡っていろいろな問題が積み重なって起きている。解决するためには、一歩一歩行くしかない。計画や管理、運営など各方面の整備から着手できる。今までのように、やみくもに都市の規模を拡大させてはならない。政府が現在考えるべきなのは、いかに限られた土地の中で、管理を集約化させるかだ」と指摘している。
実際には、多くの地方の人々がなぜ北京や上海、広州、深センなどの大都市に行くことを好むかというと、チャンスが多く転がっており、就職、しいては大成功する確率が高いからだ。その背景には、地方で貧富の差が拡大を続けていることがある。この差が存在する限り、さまざまな階層の労働力が北京に流れ込むというのは避けられない。
米国が10年に実施した国勢調査のデータによると、人口流動に影響を与える最大の要素は、08年以降発生している経済の衰退だ。どうやら北京の一時的居住者減少の傾向は、今後も続きそうだ。
「人民網日本語版」2012年9月13日