先月26日に陝西省延安市で起きた寝台バスとタンクローリーの事故現場を視察した際、笑顔を浮かべている写真がネット上に掲載されたことがきっかけで人々の反感を買い、官僚の給料では決して買えないような高級時計をいくつも持っていることがネットユーザーの手で暴かれた同省安全生産監督管理局の楊達才局長は21日、同職を解任された。専門家は「報道される事件を見て、官僚の所持品に疑いが向けられるのは、中国大陸部のネットユーザーが政治腐敗を監督しているということ」と指摘している。中国国営の通信社「中国新聞社」のウェブサイトが報じた。
中国では近年、「草根ネットユーザー」と呼ばれる一般庶民がネット上で形成する世論は決して軽視できない力を持つようになり、ネット検索や中国版ツイッター「微博(ミニブログ)」などのルートを通して、情報の共有や伝達、取得などをリアルタイムで実施。即座に民意を表現したり、腐敗をバッシングしたり、社会のねじれた部分を暴露したりする点で、日に日に大きな役割を果たすようになっている。
西北政法大学(陝西省)の侯学華・教授は取材に対して、「ネット上では、政治家や官僚の腐敗に反対する面で、全民性、自発性、リアルタイム性などの特徴が突出化している。さらに、国民が政治に対して高い関心を持っていることを表すようになっている。このネット上の『官僚たたき』をいかに法律に基づいたものにするかが、中国の政府にとっても、国民にとっても課題となっている」と指摘。
「一般のネットユーザーは聞き取り調査を行う法的権利を有しておらず、ほとんどが『人肉捜索』(ネットユーザーが協力して人海戦術で個人情報を暴くこと)が頼りであるため、官僚のプライバシーが侵害されたり、しいては法律を犯したりするようにまでなっている。ネット上での『官僚たたき』は両刃の剣のようなもので、国民の素養がそれほど向上しておらず、法治意識が低いという状況下では、健全ではない動機や感情をはらむことがあり、その客観性や権威性は絶対的なものでは決してない」。