中国では博学な人のことを「天文にも、地理にも精通している」と描写する。しかし、最近の北京市の小中学生に対する天文学教育の状況は思わしくなく、「北斗七星」すら知らない小学生が増えている。そのため同市では今年より、まず小中学校の科学担当の教師が天文館に行って天文学の知識を増やすよう計らい、小中学生の天文学の面でのレベル向上を図る。北京市の政府紙「北京日報」が報じた。
▽星に興味を持つ時間のない小中学生
「北斗七星を知っていますか」。北京市内の小学校近くで5年生数人にそう尋ねると、「聞いたことはあるけど、どれかは知らない」という答えが返ってきた。児童らはあっけにとられた様子で、中には「テストに出ないのに、それを知っててなんか意味があるの?」と聞き返してくる児童もいた。
その後、同市内にある中学校数校を訪問し、約50人の生徒に同様の質問をしてみた。すると北斗七星を知っている生徒はほとんどおらず、今年6月6月にあった、21世紀最後の「金星の太陽面通過」に至っては、知っている生徒が1割に満たなかった。
取材では、同市の小中学校の教科書はいずれも常識的な天文学に触れていることが分かった。例えば、小学校5、6年生の科学の従業では天文や気象などの内容だ。しかし、天文学が好きな児童を除いて、ほとんどの児童が天文学の常識に関心を示さず、柄杓(ひしゃく)の形をした北斗七星を知らないだけでなく、七夕の本家である中国であるにもかかわらず「ベガ星(織姫)」と「アルタイル星(彦星)」さえ知らない。